将来を見据え、市民の目線に立った合併を
沼津商工会議所
諏訪部恭一 会頭
夜、箱根方面から国道一号線を下ってくると、眼下に広がる田方平野の夜景の素晴らしさに息をのむ。と同時にこの地域が沼津と三島を中心にした、まさに一体の都市であることを実感する。しかし、実際には幾つかの自治体に分かれ、住む人々は自分の自治体の財政力や政策に従った住民サービスを受け、選択の余地はない。そこには、眼に見えない行政の境界が存在する。
今、全国自治体の約8割、2,500の市町村で合併の取り組みがなされ、県内でも合併特例法の期限である平成17年3月を意識した動きが各地で起こっている。国と地方自治体の権限、財源などの関係が大きく変わる中で旧来の仕組みでは十分な行政サービスが受けられなくなるという危機感からだ。
地域における人々の活動範囲が格段に大きくなっている現在、昔ながらの行政区域に縛られる必要はない。今は困らないから良いのではなく、将来を見据え、広い視野でのさまざまな施策を進めなければならないのだ。
沼津・三島広域合併研究会は、少子高齢化や経済のグローバル化が進展する中にあって、地方が自立して主役になれる「真の地方分権体制」の確立こそが地域を活性化し、厳しい都市間競争に立ち向かう道であり、そのためには市町村合併が不可欠であるとの認識に立って設けられた。その中で、地域の一体性の実態や合併の意義、合併をした場合の都市像をイメージし、広く合併について市民の目線に立った議論をしていくための研究を進めていく所存だ。
合併問題は、行政の変革で、市役所や役場の課題とされがちだが、今の私たちと将来の子や孫にかかわる大きな問題との認識を多くの方々に持っていただき、一緒に考え行動していきたい。
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