サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
トップ 最新情報 政策提言 活動内容 サンフロント21懇話会とは 飛躍 風は東から

風は東から「2024.11.22 静岡新聞掲載」

サンフロント21懇話会30周年記念 県東部首長リレーインタビュー

 官民一体で県東部の活性化策を探る「サンフロント21懇話会」は、光輝く地域づくりに向けて研究・提言活動を行っている。来年6月には設立30年の節目を迎える。それを記念して「風は東から」では、懇話会と二人三脚で県東部を盛り立ててきた20市町の首長にリレー形式で登場いただく。11月は、小山町の込山正秀町長と函南町の仁科喜世志町長に、産業・観光振興や行政サービスの方針について聞いた。

[サンフロント21懇話会企画]
シリーズ8

バックナンバー


小山町 産業振興と住環境整備で町の未来を切り拓く
3つの「三来(みらい)拠点」で新たな産業・観光振興へ
■込山 正秀 小山町長
1987年5月小山町議会議員に当選。95年4月静岡県議会議員に当選し、4期16年。2011年5月小山町長に当選。現在3期目、静岡県町村会会長、駿東郡町長会会長に就任

本町は地域産業の活性化や、地域資源を生かした魅力あふれるまちづくりを目指し、県が進める“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組(※1)にいち早く参画した。当事業の推進地域として、本町の8つの地域が選ばれ、そのうち大きな面積を持つ湯船原地区、(仮称)小山パーキングエリア(PA)周辺地区、足柄サービスエリア(SA)周辺地区の3か所は「三来拠点(みらいきょてん)」と名付け、事業の具現化を進めている。
まず、2027年度開通予定の新東名高速道路に設置される(仮称)小山PAの周辺地域に、自動車・モータースポーツ産業と観光施設を集積させた「富士モータースポーツフォレスト」が進行中だ。より多くの方に立ち寄っていただけるように、温浴施設、レストランなど、モータースポーツ文化を楽しめる多彩な施設で構成している。モータースポーツの聖地として世界から注目を集めるだけでなく、スマートICと連携することで町の新たな玄関口となる。
足柄SA周辺地区は、民間開発事業の観光複合施設を建設予定だ。県内の特産物を販売する産直市場や温泉、ハイエンドなホテルを建設し、ヨーロッパからのインバウンドの集客を図る。近隣の御殿場プレミアム・アウトレットからの集客も期待できる。
最後に湯船原地区は、産業振興を目的に300ヘクタールを6つにゾーニングし、この中に3つの工業団地が生まれ、造成工事も完了した。続々と企業が進出し、産業振興や雇用の創出、定住・観光人口の拡大につながっていくだろう。

■富士モータースポーツフォレスト(イメージ)


■少子化対策のため子育て環境整備を強化

■屋内温水プール(イメージ)

産業拠点の整備と合わせて、豊かな自然環境のもとで職住近接の住環境整備も行っている。町が主体となり、分譲地の創出・販売や町営住宅の建設、空き家バンクを行ってきた。
また政策提言で一丁目一番地に掲げた「子育て教育100年の計への挑戦」の実現にも注力している。全国的に人口減少が進み、少子化に歯止めがきかなくなっている中、町の子育て環境・教育環境を充実させることが最重要課題だと認識している。
例えば屋内温水プールの新設を予定している。町内小学校のプールは建設から50年以上経過したものもあり、老朽化が進んでいる。各プールの維持や安全管理、教職員の負担が大きいことから、町内5つの小学校のプールを集約化して、屋内温水プールとして整備することにした。
さらに英語学習の強化も行う。フィリピンのゴルドバ町と提携して、本町の小中学校やこども園のALT(外国語指導助手)を増員する。短期留学も推進する予定であり、子ども達はさることながら、先生の研修にも生かすことができる。
産業振興で雇用を創出し、居住環境の整備や子育てニーズに応えることで、様々な世代の町民が元気に安心して暮らせる町にしていきたい。

※1 南海トラフ巨大地震等に備えつつ、事前復興の視点を取り入れた”ふじのくに”のフロンティアを拓く取組により、防災・減災と地域成長を両立させるとともに多彩なライフスタイルを実現する魅力ある地域づくりを目指している。



函南町 地域資源を生かし環境・健康・交流都市目指す
■防災・減災対策で川を味方に引き入れる
■仁科 喜世志 函南町長
1973年法政大社会学部卒業後、函南町役場へ入職。約37年間職員として勤務した後退職し、2011年に静岡県議会議員に就任(2期)。その後18年に函南町長に就任。現在2期目

本町は静岡県伊豆半島の玄関口、箱根の南に位置し、都心へ約1時間と便利な地理的条件に恵まれている。かつて丹那トンネルの開通を皮切りに、鉄道や道路が続々と完成し、通勤圏が広がったことで、今もベッドタウンの側面を持つ。交通網の発達により、近隣市町との連結が強化された。
地域の産物も豊富だ。一番の目玉は函南西瓜。梅雨の時期に出荷され、しゃりしゃりとした食感で糖度が高い。収穫時期を遅らせた秋の抑制西瓜も糖度が高く、首都圏にも出荷されている。また140年の酪農の歴史を持つ丹那牛乳は、こだわりの低温殺菌牛乳からつくられ、様々な世代に親しまれている。
狩野川沿いにある「道の駅・川の駅伊豆ゲートウェイ函南」は、伊豆の玄関口にふさわしい観光施設として年間210万人が訪れる。狩野川の水辺の自然を生かした「憩いの場」だけでなく、万一の災害時のための災害復旧の拠点「防災ステーション」も設けた。将来、川の流れや川からの景色を楽しめるよう、川の駅を中継地に狩野川を周遊するボート等の運行も実現させたい。
一方で狩野川は、水害をもたらした歴史を持つ。過去の被害を教訓に、水害の防災減災は最注力していく。町の対策として、排水機場を強化し、住宅地や農地の内水氾濫を防ぐ。また国や県からの力を借りて、操作の遠隔化が可能となるよう安全対策を講じたい。今後も、道の駅・川の駅を活用しながら賑わいの創出、そして防災対策を強化して川を味方に引き入れたい。

■川の駅 伊豆ゲートウェイ函南



■恵まれた地勢を生かし誰もが快適に暮らせる町へ

恵まれた地域資源や施設を最大限に活用し、町内外の人々の交流の促進や、安心で快適な生活を送れるまちにするため、将来都市像を「環境・健康・交流都市 函南」と定めた。
町内には、酪農王国オラッチェ、かんなみ仏の里美術館、十国峠をはじめ、観光スポットが数多くある。東伊豆や南伊豆に宿泊する観光客に、旅の行き帰りに函南町に立ち寄ってもらい、町民との交流を通じて、本町を知っていただきたい。
また、健康づくりや福祉にも力を入れている。「スポーツのまち函南」宣言を行い、世代問わず運動ができる環境を提供している。スポーツ協会の活動も盛んで指導員も多くおり、スポーツに親しむ機会づくりを進めている。他に、「重層的支援体制整備事業(まるごとサポート)」を県内で初めて取り入れ、属性や世代を問わず、包括的に相談を受け止める支援を行っている。引き続き、誰もが活き活きと暮らせるまちづくりを目指す。
さらに、公共施設の整備も計画的に行っていく。老朽化した施設の見直しはもちろん、新設する際は、公平性を守ることと合意形成が不可欠だ。社会情勢や町民ニーズに応じ、必要性の高い施設を備えていく。直近では、下校時に保護者が家庭にいない児童を対象とした留守家庭児童保育所を増設。町民の豊かな暮らしにつながるよう、発想力をもってまちづくりを推進していく。

■留守家庭児童保育所


■企画・制作/静岡新聞社地域ビジネス推進局

▲ページトップ
入会案内お問い合わせ事務局案内リンク Copyright(c) SUNFRONT21.?ALL RIGHTS RESERVED.