中山 サンフロント21懇話会は開設20周年記念事業の一環で「人と動物の未来センター」支援を挙げています。まず栗原市長にこの施設を誘致した理由をうかがいます。
栗原 この計画を知ったのは新聞報道でした。当市は西浦地区に、ある企業から寄付された70万坪の土地があり、活用を模索しているところでした。今後、動物愛護は日本人にとって環境問題と同じくらい重いテーマになる。それに先進的に取り組めば、沼津を含めたこの地域の大きなアピールになると手を挙げました。
中山 川崎市は昨年度、動物の「殺処分ゼロ」を達成しましたね。
角 「殺処分ゼロ」は目標でなく、助けられる命は助けようということの結果です。攻撃性が強く、矯正できない犬、病気が治る見込みのない犬などがいますから、今後もこれが続くとは思っていません。今回達成できたのは職員の頑張りと、ボランティア、愛護団体、民間の動物病院など多くの方々の協力があったからです。長年、飼い主の啓発を進めていて、当市独自の条例に定める「かわさき犬・猫愛護ボランティア」の登録者は40人を超えています。
センターの大きな役割の一つが子どもたちへの教育です。動物とのふれあいを通して動物愛護の心を育む「動物ふれあい教室」は、小学生を中心に年間2000人が参加しています。
高橋 ペットと一緒に泊まれる宿泊施設を6カ所経営しています。15年前までお笑い芸人をやっていましたが、ある保養所の再建を頼まれ、1室だけペットを受け入れたことが動物との関わりの始まりです。
ペットと泊まれる宿はまだ少ないので、リピート率は高いです。行ける場所があると行く人が増え、人が動くとインフラが整います。以前はサービスエリアになかったドッグランは今、ほとんどのところにありますね。将来、飛行機の座席にペットが座る時代が来ることを願っています。そのためにはしつけや飼い主のモラルが重要視されていくと思います。
栗原 精神的な動物愛護も大切ですが、これをやることで地域が活性化するというのも大きな目標だと思います。建設予定地近くの戸田には、来春、道の駅「くるら戸田」ができます。動物と一緒に来られる道の駅にしたい。いい散歩道もありますので、ペットとゆったり散歩してもらいたい。それで地域が潤えば素晴らしいことだと思います。
牧原 昨年9月に環境大臣政務官に就任し、「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトアクションプラン(牧原プラン)」を作りました。当時は17万頭が殺処分されていました。現場の方にしたら殺したくて殺しているわけではない。それを大幅に減らす方向で国がビジョンを示さないといけない。細かい議論はたくさんあります。反対意見もあります。
このプランは実務に関わっている人の意見を取り入れました。ポイントは(1)飼い主・国民の意識向上(2)引き取り数の削減(3)返還と適正譲渡の推進―の三つです。
沼津の案で感銘を受けたのが動物愛護と福祉という観点です。また、地域活性化、まちおこしにいかすというのは良いアイデアですので、うまくいけば環境省で紹介したい。続々と全国から視察が来ると思います。 |