新型コロナウイルスによって人の動きや生活が劇的に変わった。働き方も大きく変わる中で、知らぬ間に新たな市場がどんどん生まれている。その変化にいかに気づき、つかめるかだ。
製品は市場への導入から時間が経過すると基本機能に加えて副次機能が必ずプラスされる。たとえばマスク。最初は皆同じ使い捨ての紙マスクを使っていたが、今は色付き、イラスト・ロゴ入りなど、多種多様なラインナップだ。まさにマーケティングによるものと言える。品質がいいのはもちろん、付加価値をどう与えるか、お客さまが何を求めているかのマッチングを愚直にやっていかなければならない。
もちろん、そこには優れた技術を保有していることは必要条件だ。
さらに、コロナ禍でのものづくりには、「人に、地域に寄り添う」視点がより重要だ。経営理念に立ち返り、企業の存在価値を再度認識する中から次に進むべき道が見えてくる。丸富製紙や平電機の取り組みはこの点をきちんと踏まえた好例だろう。
今まで考えていないところにビジネスチャンスがある。例えば、医療という市場をどう捉えるか。診療という狭義で捉えるか、健康、未病領域までを考えるのかで大きく変わってくる。生活者に視点を当てれば、まだまだいろいろなことができるだろう。
また、コロナ禍ではスピード感が問われるため、他社との連携がますます必要になってくる。
大と小、グローバルとローカルなど、ものごとを単純に二極化で捉えがちだが、その中間もあると思う。そうなると組み合わせは無限大だ。新しいもの、異業種と組み合わせることで、製品やサービスのライフサイクルや企業の寿命そのものも延びていく。それをどう創り出すかが企業に問われている。
新型コロナウイルス感染症は、企業経営にとって予期せぬ事象かもしれないが、変化することは常態であると捉えるビジネスの“運動神経”が必要だ。 |