材料となる不織布の製造や縫製など、一連の工程を県内で完結させる体制構築に取り組むのは全国でも例がない。PVCの植田勝智センター長は「今回のようなビジネスに乗らない仕組みは、行政主導でつくっていかないと難しい」と言う。災害や新たな感染症など、医療用資材が足りなくなる場面は想像に難くない。いわば「命を守る産業」だ。
県は6月の補正予算で、医療機器を開発する企業の助成制度を予算規模2億円で創設。コロナ禍で顕在化した課題解決に結び付く医療機器開発を支援する。22社が手を挙げ、高精度なウイルス抗原検査技術や、空間中に浮遊するウイルスの回収除去装置の開発など、17社が採択された。露木参事は「課題解決に寄与する医療機器開発の取り組みを支援し、こうした産業の基盤強化を図りたい」と意気込む。
県は、医薬品・医療機器の国産化を着実に進め、将来的な輸出産業化を目指し、医薬品・医療機器産業を「命を守る産業」のリーディング産業として育成していくとしている。ファルマバレーには、その中核的な役割を担うことが期待されている。 |