大坪 ファルマバレープロジェクトが始動して約20年、富士山と肩を並べるまでに成長したと感じています。
川勝 ファルマバレープロジェクトは、静岡がんセンターの山口建総長のリーダーシップのもとで「ひとづくり、ものづくり、まちづくり、世界展開」を戦略の四本柱とする活動を順調に広げてきました。
今や本県の医薬品・医療機器の合計生産金額は1兆2000億円、11年連続で全国第1位です。特に医療機器は2位以下を大きく引き離しています。日本の医薬品・医療機器は輸入超過で、赤字が年4兆円に膨れ上がっています。しかし本県は合計生産金額を増やしています。
山梨県のメディカル・デバイス・コリドー推進計画(※1)とも連携ができたので鬼に金棒です。ファルマバレーセンター(PVC)には健康長寿の“環富士山”の拠点になっていただきたい。
大坪 この間、内閣府の方がお見えになり、どうしてファルマバレープロジェクトはうまくいっているのですか?と質問されました。要因の一つに、サンフロント21懇話会の存在があります。
岩崎 懇話会に集う先人たちは、構想段階から今のPVCとなる中核支援機関の早期稼働や地元企業が医療分野に参入できるような仕組みづくりの提案など、さまざまな働きかけをしたと伺っています。
その後、PVCができ、静岡がんセンター研究所もできました。こうしたインフラ整備と相まって、多くの企業が医療機器製造分野に参入しました。参入企業は48社を数えます。
正確な生産金額までつかめませんでしたが、PVCに関連するだけでも少なくとも300億円規模の製品が生産されています。県全体の医療機器の生産金額が3000億円強だったと思いますので、まさに医療城下町の具現化と言っていいでしょう。 |