青山 地域の所得の底上げと高度な頭脳産業の発展には教育も大きなカギになりますね。
大坪 教育は大学だけではなく社会全体で行うべきで、例えば専門学校をもち、企業内外の人材の育成を行う企業もあります。このように産業自体が人材育成することも可能です。静岡県には優れた学校がありますので、企業が工業専門学校や大学に人材を派遣したり、あるいは地域の人に奨学金を出すなど、柔軟な発想が求められます。私は企業にいたときに、アメリカの大学に留学しました。企業の留学制度を充実させ、世界中のシーズ(種)を拾ってきてもらうのも人材育成の方法として挙げられますね。
野中 企業からすると、スキル別の地域の人材バンクがほしいですね。貴重なリソースを副業や業務委託など流動的に活用できると良いと思います。 また、ヘルスケア分野においてリテラシーの高い方が集まってくるのは大きな財産です。 個人のヘルスケアデータがブロックチェーン技術で守られ、情報を提供した方にトークンという形でメリットが返ってくれば、ヘルスケアデータの有効活用ができるようになるのではないでしょうか。このような環境があれば、AIやビッグデータに関する人材や起業家も集まり、新しい産業が生まれることが期待できます。
青山(竜) 国は医療データを匿名化して活用、開発に使おうという動きに力を入れており、認定事業者も三つほどできています。一から築き上げるのではなく、そのような事業者と一緒に作り上げ、パッチワーク的に今あるものを活用していくのが賢明かと思います。また、医療現場におけるデータで利活用することについては、医療機関、自治体で丁寧に議論することが大切です。
池田 人材や企業を呼び込むうえで、東部地域は災害時などいざという時への備えができていることがPRできるよう、新東名長泉沼津インターチェンジ周辺にさまざまな物流産業をもってくることを考えています。そうすることで、東部広域の物流機能が強化できると同時に、災害時の防災拠点としても機能するため、地域の魅力アップにつながります。
青山 どこに住み、どこで職に就くのかが今までにないほど重要な意味を持つ時代。そうした中で医療田園都市構想は、超高齢社会を逆に生かすことのできる都市の在り方を示していると言えます。計画の成果に期待しています。
アントレプレナー…ゼロから会社や事業を創り出す人(起業家)のこと
ブロックチェーン…取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術
トークン…一般的に、ブロックチェーン技術を利用して発行された仮想通貨や、NFTなどを指す
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