沼津市の中心市街地、JR沼津駅周辺が大きく変わろうとしている。現在は、鉄道に南北が分断され、のぼり道・あまね・三ツ目の三つのガード下は慢性的な渋滞や、雨天時の冠水など課題も多い。しかし近年は駅周辺にマンションの立地も増え、人口の流入も見られる。様々な業務機能が集積して利便性が高いが、一方で子育て関連の機能や、緑の癒し空間が少ないといった市民の声も多い。 鉄道高架の関連事業はこうした同市が抱える課題を解決し、変革のチャンスをもたらすものだ。JR東海道本線と御殿場線が高架化すると、南北の交通状況が格段に良くなる。また、鉄道施設のスリム化により、駅周辺に広い新たな土地が生まれる。市はこうしたインパクトを最大限生かすため、「中心市街地まちづくり戦略」を2020年3月に策定した。
戦略には四つの方向性が示されている。戦略1は「ヒト中心の公共空間の創出」。沼津駅周辺の公共空間を車中心からヒト中心の空間に再編するため、駅周辺の地区交通体系を整理する。戦略2は「拠点機能の立地促進」。鉄道施設跡地や高架下空間に地域の発展に必要な機能を入れ込んでいく。戦略3は「まちなか居住の促進と市街地環境の向上」。空き店舗や低未利用地の活用を図り、まちの魅力を高める。戦略4は「周辺地域資源との連携」。沼津港や千本松原をはじめとする地域の観光資源などとの接続や回遊性を高める。 高架化で沼津駅南に新たに生まれる土地と交通の再編を行うことで、イメージパースにあるような緑とにぎわいにあふれる空間を生み出していく。同戦略の推進に取り組む市まちづくり政策課の渡辺尚志課長補佐は「このイメージは20年後のものだが、それまで市民の目に見える形で段階を踏んだ整備を行っていく」と語る。
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