大坪 昨年度、ファルマバレープロジェクトはスタートから20年を迎えました。超高齢社会のさまざまな課題が浮き彫りになる中で、このプロジェクトが一つの答えを出しているように思います。また、昨年7月には秋篠宮家の次女、佳子さまがファルマバレーセンターをご視察されましたね。
川勝 佳子さまが「自立のための3歩の住まい」の可能性と有用性をすぐにお認めになられたのは印象的でしたね。ファルマバレーでは、県立静岡がんセンターの開院当初から「ひとづくり」「ものづくり」「まちづくり」「世界展開」の四 つの戦略プロジェクトを進めています。ひとづくりでは慶応大をはじめ、早稲田大、東京農工大などと関わりながら優秀な医療従事者や医療機器開発者を数多く育てています。ものづくりは、医療現場に製造業の高い技術を取り入れ、すでに170以上の製品が生み出され、医療産業へ新規参入した企業も50社を超えました。
「自立のための3歩の住まい」は、超高齢社会の理想郷を具現化する「まちづくり」における最初の取り組みです。「3歩」とは、人生100年時代を見据え、自力での歩行が難しくなった高齢者が一日の大半を過ごすベッドを中心に、洗面やトイレ、お風呂など、最後まで自分の身の回りのことができる距離感をあらわしています。DXを取り入れ、オンラインで家族とのコミュニケーションや遠隔医療を可能にし、AI搭載の友達のようなロボットの機能も想定しています。ファルマバレーセンター内にモデルルームを作り、医療機器や介護機器、家電メーカーや住宅素材メーカーなど関係する企業からなるコンソーシアムで進めています。
|