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■小長井 義正 富士市長
富士市出身。1997年富士市議に当選。2013年まで5期務める。09年富士市議会議長、全国特例市市議会議長副会長。14年富士市長に初当選。20年静岡県東部市長会会長。23年から全国市長会評議員。現在3期目。
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富士山や駿河湾など豊かな自然環境や交通の利便性を生かし、多様な産業が集積する都市として今まで発展してきた。これまでの発展を礎に、経済・環境・社会の三側面から先進的に取り組む姿勢と自治体としてのポテンシャルが評価され、2020年7月に内閣府の「SDGs未来都市」に選定された。
先駆的な取り組みの一つが、植物由来の新素材であるセルロースナノファイバー(CNF)の実用化に向けた支援だ。本市の基幹産業である製紙業は、人口減少やDXの影響等から産業規模が縮小傾向にあり、強みを生かした新たな事業展開が求められている。CNFは、製紙産業と親和性が高い植物由来の安全安心な素材で、ものの軽量化や高強度化に寄与し、高い保水性を持つなど、様々な機能を有することから、脱プラスチックが求められる中で注目を集めている。また、市内には工業団地等の整備も進み、多種多様なものづくり産業が集積しており、これら産業への活用も期待されている。CNFの実用化に向けては、民間企業の研究所による素材開発のほか、県の富士工業技術支援センターによる技術支援も行われ、同センター内には、富士市CNF連携拠点「磯貝明東京大学特別教授ラボ」も設置し、産学官連携の取り組みを深化させている。今後もCNFの実用化を加速させ、工業都市としてさらに発展を図っていきたい。
さらに「ひと」の面では、本人の個性や意欲に合わせて多様な働き方ができる「ユニバーサル就労」を進める。本市が目指す都市像は「生涯青春都市」。様々な理由により働きづらさを抱えている人たちと、協力企業とのパートナーシップの強化を図っている。17年にはユニバーサル就労支援センターを設立。現在市内の250社が協力企業として登録し、働きたい人と企業をオーダーメードでつなげる役割を果たしている。こうした取り組みで誰一人取り残さない社会を実現し、SDGs達成に貢献することを目指している。
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