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■山下 正行 伊豆の国市長
伊豆の国市出身。1980年農林水産省に入省し、在米国日本大使館、在ジュネーブ日本政府代表部などにも勤務。国際部長、農林水産大臣官房総括審議官(国際)、食料産業局長などを歴任し、2015年に退官。日本中央競馬会常務理事を務めた後、21年より現職。
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来年、本市は市制20周年を迎え、これを機に「市民憲章」を策定する。協働・多様性・インクルーシブ(誰も取り残さない、全員参加)・ウェルビーイング(健康かつ幸福)・郷土への誇り・グローバルといった内容・思いを盛り込む予定だ。
少子高齢化は待ったなしの課題だ。合併時5万人を超えていた人口は現在約4万6千人となった。災害時だけでなく、地元のお祭りや伝統行事などの担い手不足など、今はあまり顕在化していないが将来的な危惧は持っている。その意味においても子育て対策は最重要課題の一つ。本市は、子育て支援策をパッケージ化し、市民に分かりやすく伝えている。教育面での特徴は、「教育格差」をなくしたい、英語に早く慣れさせたいとの思いから、通常、小学3年生から行う英語教育を、市独自の施策として保育園・幼稚園時から行っている。
高齢化対策は、地域包括ケアがしっかりしており、年をとっても住み慣れた場所でできるだけ長く暮らせる工夫をしている。加えて今後は、健康寿命の延伸も重要な課題であり、健康づくりのためのフォーラムの開催、「リエイブルメント(元気な自分を取り戻す)」の取り組み、ウォーキングの推奨などに力を入れていき、日本一の健康寿命のまちを目指したい。
農業関係については、市長就任以来、有機農業の振興に取り組んでおり、実証圃場で収穫した米や野菜を学校給食に取り入れている。今年は有機農業の推進に向けた協議会の設置と「オーガニックビレッジ宣言」を行う準備をしている。新規就農者の受け入れも活発で、特に県内有数の生産量を誇るミニトマトは先輩就農者が新規就農者を指導するという好循環を生んでいる。
様々な施策を展開するうえで重要なのは、市民の声に耳を傾けること。その一環として、市長座談会「市長と語ろう」を開催しており、昨年度は26グループと意見交換を行った。一昨年までの地区懇談会では、行政からの一方的な説明に終始してしまったため、昨年度からは各グループが聞きたいテーマを中心に対話を重ねている。今年度は既に6回行っており、先日は子育て中のお母さん方と、子どもたちの居場所づくりについて意見交換した。
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