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■齊藤 栄 熱海市長
1963年生まれ。東京都出身。88年東京工業大大学院修士課程修了後、国土庁(現国土交通省)入庁、土地局国土調査課専門調査官等を歴任し99年に退官。学校法人勤務、国会議員政策秘書を経て、2006年熱海市長に就任し、現在5期目。
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2018年に「熱海2030ビジョン」を発表した。本市は平成の30年間で、人口が23%の減少、高齢化率は2.8倍、税収が30%減となり、将来自治体として立ち行かなくなる危機感があった。そこで、同ビジョンでは、人口減少社会であっても、経済が持続的に発展し、豊かな市民生活が維持できる新たな仕組みづくりを基本的な考えとしている。
まず、観光振興については、新たな財源の確保として「宿泊税」を導入する。観光業は投資産業と言ってもよく、常にリニューアルが必要だ。宿泊税の導入で、新たに年間7億円ほどが確保できる。この財源を観光施設の刷新などに活用し、観光客に還元していく。また、熱海はV字回復を成し遂げたと言われるが、10年をかけ、熱海の新たなイメージをプロモーションし続けてきた。「意外と熱海」観光ブランドプロモーションは、四季ごとのテーマを決め、ターゲットに合ったコンテンツとビジュアルを作成することを繰り返した。並行して行った番組ロケの支援を24時間365日対応する「ADさんいらっしゃい!」は数多くのメディア露出を可能とし、若年層を中心に熱海ファンを増やした。
次に、人口減少対策では、今後、住宅政策が重要と考えている。特にファミリー層が住みやすい環境を整えることが求められる。これまでの市の住宅政策は、市営住宅の整備に重点が置かれていたが、今後は民間の投資促進や、空き家の利活用に力を入れていく。また、旅館・ホテルの従業員寮建設の補助制度も今年度からスタートする。こうしたことが人口減少対策だけでなく、人手不足対策になると考える。
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