サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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風は東から「2024.9.27 静岡新聞掲載」

サンフロント21懇話会30周年記念 県東部首長リレーインタビュー

官民一体で県東部の活性化策を探る「サンフロント21懇話会」は、光輝く地域づくりに向けて研究・提言活動を行っている。来年6月には設立30年の節目を迎える。それを記念して「風は東から」では、懇話会と二人三脚で県東部を盛り立ててきた20市町の首長にリレー形式で登場いただく。9月は、御殿場市の勝又正美市長と裾野市の村田悠市長に、産業振興や、市民満足度を高めるための施策について聞いた。

[サンフロント21懇話会企画]
シリーズ6

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      富士山麓の風土が育むひと・まち・産業
■若者のシビックプライド高めるために
■勝又 正美 御殿場市長
1955年生まれ。御殿場市出身。78年東京都立大学経済学部卒業後、御殿場市役所へ入職。企画部長、教育部長を経て、2018年に副市長に就任。43年間職員として勤務した後、21年御殿場市長に就任。現在1期目。
※旧東京都立大学(1949年〜2011年)。2020年に首都大学東京から改名した現大学とは別。

世界に誇る富士の麓、本市は豊かな自然をはじめ、交通の利便性も高く、多くの観光資源に恵まれたまちだ。「住みよさランキング2024(※1)」の総合評価で全国812市区中、県内では一位、観光交流客数も年間1500万人を突破し、政令指定都市を除くと県内第一位、宿泊客数は県内第三位と、あらゆる指標において、県内でトップクラスを誇っている。
こうした風土は市民の温かな人間性も育んできた。人情味あふれる人間性は、まちづくりの上で重要な役割を果たしている。コロナ渦の困難な状況下でも、市民が一体となりまちづくりを推進してきた。今後も性別・年齢にとらわれず活躍できる「日本一の共生社会」を実現していきたい。
また最近は若者の活躍が著しく、特にスポーツでは、今年、御殿場西高がインターハイ空手道競技女子団体組手で優勝するなど、目覚ましい成果を上げている。
一方で、交通の利便性の高さから首都圏への人口流出が課題となっている。特に学生から社会人に切り替わる18〜22歳の流出を抑えたい。若者の育児負担を減らしまちに呼び戻すため、保育園留学や、第二子のおやつ代・保育料の完全無料化などの施策を実施してきた。子育てしやすい環境を整え、まちへの愛着を深めてもらうことを期待している。

■御殿場西高空手部の女子団体組手優勝メンバーが市長表敬に


■地域の特色を生かした大型プロジェクト続々と

富士山を背景に、開発が進む東名インター付近

盛んな林業や、基地のまちとしての特色を生かした大型プロジェクトも進行している。
本市は22年に森林環境を守り、林業の活性化を図るために「ごてんば木育推進宣言」を行い、地元木材を「ごてんばっ木(こ)」の愛称でブランド化を図ると共に、木育活動の拠点となる木のおもちゃ美術館を建設中だ。
さらに、富士山の麓から脱炭素を世界にアピールするため、御殿場市、裾野市、小山町の2市1町で、富士山東麓エコガーデンシティ地域循環共生圏を形成した。取り組みの一つとして、豊かな森林からJクレジット(※2)を生み出し、地域通貨「富士山Gコイン」を介して脱炭素と経済の好循環の創出と、市民活動の応援をする「御殿場型循環モデル」を構築した。このGコインは、健康づくりや環境に優しい活動、ボランティア活動などSDGsの達成につながる市の事業などに参加すると貯めることができる。Gコインの普及を通して、市民活動への参加率の向上や、年配の方がデジタルに慣れるといったメリットを享受している。
さらに「基地のまち」の特色を生かしたメッセ型展示施設の建設も予定している。世界でも希少な戦車等の展示や東富士演習場関連の資料館、自衛隊総合サポートセンターを設立し、科学技術の展示など、他の市町の大型屋内施設との差別化を図っていく。
そして一番の目玉は「道の駅的施設」だ。御殿場地区の国道138号沿いに新設される。農産物やお酒など地場産品が並び、飲食のれん街や水をテーマにした公園、ドッグランも併設する。地場産品はもちろん、本市とつながりのある各地からも出店する予定だ。集客目標は年間300万人。道の駅的施設では国内最大級の客数を見込んでいるが、決して難しい数ではない。関係各所と連携し、年間客数1118万人(23年度)とも言われるアウトレット利用者に対するPRを強化したい。

※1 東洋経済新報社が公表
※2 省エネルギー設備の導入や森林経営などの取り組みによる、CO2等の温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度



「日本一市民目線の市役所」で人と企業に選ばれるまちへ
■立地を生かした産業振興へ
■村田 悠(はるかぜ) 裾野市長
1987年生まれ。裾野市出身。国会議員秘書、市議会議員(2期)などを経て2022年1月に県内で最年少の首長として第7代裾野市長に就任。現在1期目。就任時作成した市長戦略達成に日々全力投球。

本市は、富士山の伏流水など豊かな自然と、首都圏から100キロメートル圏内の好立地を生かし、産業のまちとして発展してきた。停滞を打破し、発展を加速するため、2022年1月に市長に就任し、遅れていた企業誘致と社会基盤整備をばん回するため尽力している。
まず、市役所組織の方向性を明確化するため、経営戦略として「市長戦略」を策定し、「人と企業に選ばれるまち」をビジョンに、「日本一市民目線の市役所」をミッションに掲げた。そして、企業からの相談をワンストップで受け付ける渉外課などの部署を新たに設置。トップセールスの回数も数え切れない。
結果、企業誘致は着実に成果を上げてきた。市長就任以降、従業員100人以上の企業2社の誘致にも成功している。相談中の案件も数多い。今後も、様々な産業をバランス良く誘致し、景気に左右されないまちづくりを実現したい。
また、新たな企業を誘致するだけでなく、市に定着してもらう「企業留地」にも力を入れている。本市に立地している全ての企業を大切にしたいという思いで、自ら積極的に企業訪問に出向き、企業の動向や経営課題などを把握している。「これからも裾野市に工場・事業所を構えていきたい」「将来、本社機能を裾野市に移したい」と思ってもらえるよう、手厚いサポート体制を取っていく。それにより、本市に住む人だけでなく、訪れる人や働きに来る人も含め、市に関わる全ての人たちが幸せに暮らせるまちにしたい。
さらに、「道の駅」の新設も進行中だ。富士山・箱根・伊豆のクロスポイントに位置する本市の立地の良さを活かし、周辺観光の拠点にする。それに加えて、市内の企業が持つ技術などもPRして、企業誘致や働き手の移住促進にもつなげたい。
さらなる産業発展のためには広域連携も欠かせない。首都圏に対抗するには、圏域として勝負する必要がある。トヨタ自動車の「ウーブン・シティ」が完成すれば、三島駅北口から本市を訪問する人々も増えていくだろう。それに備え、新幹線三島駅北口を入口として、産業が発展していくエリアづくりが重要だ。市も、ウーブン・シティの最寄り駅となる岩波駅周辺の利用状況などの変化を見据え、その波及効果を受け止める駅周辺整備を進めている。こうした取り組みで、ウーブン・シティに海外から訪れる人々に、富士山などの自然景観を生かした、美しい裾野の姿を見てもらえるようにしたい。

■道の駅完成イメージ
※建物等の詳細は変更になることがあります。



■市民の時間は市民のために DXで市民満足度向上へ

「日本一市民目線の市役所」の実現のため、DXによる市民満足度の向上にも力を入れている。デジタル部を新設し、「市民の時間は市民のために」「職員の時間は市民のために」を掲げたDX方針を策定し、業務改革を進めている。
窓口改革が好例だ。きめ細やかな業務改革や予約システムの導入などにより、待ち時間を従来の半分に短縮できた。また、ご家族が亡くなられた方にワンストップで手続きをサポートする「おくやみワンストップ窓口」を新設し、98パーセントの利用者から「大変良かった」「良かった」という声をいただいた。こうした声が職員のモチベーションにもつながり、さらなる改善が進み、市民サービスが向上する好循環が生まれている。今年度は「頼りになる窓口」をコンセプトとしたさらなる窓口改革が進行中だ。こうしたところから市民の満足度を高めていき、「日本一市民目線の市役所」を目指していきたい。

■窓口改革の様子


■企画・制作/静岡新聞社地域ビジネス推進局

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