中山 まずは、伊豆市の現状について伺います。
菊地 伊豆市の人口減少は大きな課題です。医療体制については、静岡がんセンターまで車で30分、順天堂大学静岡病院まで15分。市内には伊豆赤十字病院や中伊豆温泉病院が立地しています。これだけ充実しているのは東京23区でもまれでしょう。さらに、天城山や駿河湾など自然も豊かです。
今年は市制20年。修善寺駅前や学校、ゴミ焼却場など、まちの新しい形もできつつあります。医療田園都市構想が描く理想郷をつくるには、私たちがふるさとに自信とプライドを持つことが必要です。
土居 まちづくりのイニシアチブは、ぜひ現役世代やZ世代に担ってもらいたいですね。
いまや介護をする側もされる側も現役を引退した人たちです。昔は、現役世代にとって介護は大きな負担となっていましたが、今ではリタイア組が引き受けてくれていますので若者世代・現役世代中心のまちづくりが重要ではないでしょうか。若者同士で定期的な交流ができるサロンなどを開催し、自分たちのまちをどうしていくべきか議論する場が必要です。そのような場の確保について行政が支援してはいかがでしょうか。
志賀 若者をターゲットにしたい半面、市の経営を維持していくには高齢者を呼び込む必要があるのが、現在の伊豆市の現状だと感じます。
人口減少が進む一方で、ベーシックサービスである医療・介護は今後も必ず残ります。そこで都市部に住んでいる高齢者を伊豆市内に呼ぶのはどうでしょうか。例えば伊豆の施設を利用している家族に面会に来てもらい、ついでに温泉を楽しんでもらうといったことです。
菊地 確かに、高齢者が市民に占める割合は大きい。ただ、リタイア世代と現役世代では価値観が全く違うため、まちづくりの意思決定は現役世代にお願いするなどしなければいけないと思います。
今後の日本は、2100年には人口が5000万人、そのうち首都圏の人口が2500万人で、それ以外の地域に残りの2500万人が住むという、想像しがたい状況を迎えます。前例に縛られない若者の発想で町の方向性を決めてもらう一方、元気な高齢者には長く働いてもらう。今がその体制移行の期間と言えるでしょう。
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