サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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提言書「ファルマバレー構想を活かした東部地域の活性化推進」 
ファルマバレー構想は、東部地域が21世紀に生き残るための
グランドデザインのメインテーマ

 平成の10年間で日本の株価は、四分の一以下になり、債務はGDPを大きく上回り、経済成長率もアジア諸国の成長を横目に、実質0%というのが現状であります。体質改善の遅れから市場退場を余儀なくされるガリバー企業と同様、日本国の構造改革も心許なく、今後は地方からの発想により自律した特色ある経済圏を形成し、国際戦略も果敢に展開していくことなしに、繁栄の道はないものと考えております。
 東部地域は、東海道新幹線三島駅を介して、既に首都圏の一部であり、また将来は、静岡空港の開設により海外とも直接に結ばれ、国内外において市場本位に活動していく基盤が整います。
 従来より、東部地域には多くの製薬企業をはじめ、国立遺伝学研究所に代表される多数の研究機関や病院施設などが集積し、医薬品出荷額においても本県は全国第2位の位置を占めるなど医薬関連環境は充実しております。
さらに、今年9月には、革新的な理念と世界的にもトップレベルの人材、設備と技術をもつ静岡がんセンターが開設され、富士山麓先端健康産業集積構想「ファルマバレー構想」の実現に向けた第一歩が踏み出されました。ファルマバレー構想は、医療と健康をテーマとして、産官学連携による先端的な研究を推進し、技術移転などの手法により新たな産業集積を創出することにより、21世紀に生き残れる強さと優しさをもったまちづくりを推進し、県民の豊かな生活を支えていくことを目的とするものと捉えております。
 したがって、ファルマバレー構想では、先端的な研究の推進と技術移転による新たな産業創出およびその集積を促進する仕組みが不可欠であると認識しております。加えて、東部地域の既存産業の取り込みとその革新が必須の要件であることは言うまでもありません。
しかしながら、東部地域におけるファルマバレー構想への認識は十分とはいえません。やはり、構想実現に向けた具体的なプロジェクトの活動が見えてこない限り、地元の企業もどう関わりをもったらよいのか分からず、手を拱いているのが実状です。これからの地域間競争を制するのは「戦略」と「スピード」です。グローバリゼーションにおけるビジネスは先手必勝であり、プロジェクト推進の遅れはファルマバレー構想にとって致命傷になりかねません。
サンフロント21懇話会としてもファルマバレー構想の戦略的意義を高く評価し、同構想の推進を加速するべく、いくつかの提言をまとめました。
「一日も早い推進を!」というのが私たち東部地域経済人の偽らざる思いであり、さらに、これを契機に東部地域の合併への気運を盛り上げていくことが必要であり、ご高配を賜るべくお願い申し上げる次第です。


平成14年12月4日
サンフロント21懇話会
代表幹事 岡野光喜


1.構想推進センターの一日も早い稼動開始を要望します。

 平成15年4月までに設置される予定で進んでいる構想推進センターは、プロジェクトを推進していくプロデューサーとしての機能的側面とファルマバレーの交流基地としての装置的な側面があります。
 プロデューサーとしては、構想推進センターが強いリーダーシップと行動力を発揮して国内外の産官学をコーディネートする一方、地元企業を取り込んでいくアクションプランを作成し、具体的な働きかけを行っていくことが早急に求められます。


 提言1
●構想推進センターの充実した組織体制の編成と早急な稼働開始。
●県庁内部における横断的推進体制の強化。
●地元企業との連携プランの作成とその早期実施。

2.構想推進センターを核にした三島駅北口地区の一体的な開発推進が必要です。

また、交流基地としての構想推進センターは、ファルマバレーのシンボル施設としてまちづくりの核になっていかねばなりません。構想推進センターを中心とする新たなまちづくりを行うことにより、ファルマバレーの交流拠点となるステーション機能が確保されます。そのためにも新幹線三島駅を擁し、アクセスに優れた三島駅北口地区への設置が望ましいと考えております。多様な人々が健康的な生活を営む環境づくりを進めるとともに、内外ネットワークとの活発な交流を通して新しい産業と文化が誕生していくような開かれたまちづくりが必要です。ファルマバレー構想は、新しいまちづくり構想でもあります。

提言2
●構想推進センターの三共工場跡地への設置。
●構想推進センターを中心にした三共工場跡地と財務省所有の現教育研修所敷地の一体的開発による新しいまちづくりの推進。
●構想推進センターを中心に、交流センターやデータセンター、インキュベーションセンター、オープンラボラトリー、商業施設などを複合させた交流ステーションとして構成。

3.静岡がんセンターの資産を活用する官民連携プロジェクトの推進をはかるべきです。

静岡がんセンターの資産をさらに活用し、相乗効果を発揮していくために民間および市町村に積極的に働きかけ、官民連携によるシンボルプロジェクトを推進することを提言します。
静岡がんセンター研究所を早期に整備し、共同研究を推進することで静岡がんセンターの求心力が高まり、関連機関の進出、整備など多くの相乗効果が期待できます。その結果、面としてファルマバレーの姿が現れ、地域内外、国内外の認識も広がり、ファルマバレーへの参画気運が高まっていきます。

提言3
●静岡がんセンターとの連携により、退院患者の保養健康サポート施設、医療健康関係者の交流サロンなどを整備。
●静岡がんセンターをはじめ、ファルマバレー構想の人材供給基地として、高度医療や介護分野に対応するための四年制看護学部の誘致。
●ファルマバレー関連事業を計画する市町村と県との人材交流を行い、市町村におけるファルマバレー関連事業の推進の加速化。

4.産業クラスター形成の仕組みづくりを急がねばなりません。

ファルマバレーが世界的な競争力を維持していくためには、先端的な研究開発型の企業を集積させることが不可欠です。そのためには、研究者によるベンチャー企業設立を促す基盤づくりと起業を支援するシステムの整備、さらに地域産業としての広がりを創っていくための地元企業との連携をはかるための仕組みづくりを急がねばなりません。

●大学付属研究機関の誘致により、ベンチャー起業予備軍である研究者の集積をはかる。
●構想推進センターのインキュベート機能と連携し、研究者の起業を人材面、資金面から支援するネットワークを構築。
●研究開発型ベンチャーが集積する研究開発拠点としてリサーチパークを整備する。リサーチパークは、単なる"団地"ではなく、集積による交流や相互補完による付加価値の高い研究開発活動を促進するとともに、技術移転および経営面、人材交流面等ベンチャーの支援機能を果たしていく。
●地元企業との連携をはかる交流会、技術移転研究会の設立。


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