サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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活動内容
平成17年度の活動方針

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第11回伊豆地区分科会 平成17年10月14日(大仁ホテル)
パネル討論:「技能五輪国際大会とファルマバレー構想
〜ヘルシンキ大会の視察を終えて〜」

 

◆コーディネーター
坂本光司  静岡文化芸術大学大学院教授

◆パネリスト
望月良和  伊豆の国市市長
村田俊英  南伊豆町観光協会会長
大口裕美  JTBパブリッシング宿泊情報部宿泊情報編集部編集長
谷 和実  静岡県空港部部長

観光客の落込みが止まらない伊豆の現状分析から始まり、ネックの交通事情を打開し、新しい展望を含むコミュータ空港の実現が可能かと、会場を交え議論が進んだ。コーディネーターの坂本教授が指摘するようにコミュータ空港構想は、伊豆半島に活気を与える夢であり、地域が一体となって構想の実現に取り組むべきだという空気に会場は包まれた。次の一歩をどうするか。伊豆周遊観光の課題のつが浮き彫りになったパネルディスカッションとなった。


伊豆地域の現状について

坂本 まずはこの地域の現状について、それぞれお話いただいて、その後、そのための一つの手段、手法であるコミュータ問題について考えていきたいと思います。問題の所在を確認していただくために、県、国土交通省の観光に関する統計を少し調べてきました。静岡県の観光入り込み客は、宿泊、日帰りを含めて平成5年は億3300万人位。0年前は億2200万人で、この0年間で静岡県全体では00万人、率にすると9・%増えていますが、地域ごとに明確にその推移が分かれており、そのデータを見て私は愕然としたわけです。伊豆地域の入り込み客は、平成5年で4300万人となっており、0年前は5700万人。400万人の方々が伊豆から遠のいたことを表していると思います。比率ではマイナス24%。国内、海外も観光客全体は増えている傾向にあり、観光に対するニーズが決して薄れているわけではありません。しかし静岡県の一番の売りである伊豆地域の観光入り込み客が特に落ちているのです。コミュータは一つの解決策ですが、もっと改革をしなければいけないところがたくさんあるような感じがします。
まずは観光地伊豆としての現状についてどんなふうにお考えになっているか。望月市長から順番にお願いしたいと思います。

望月 伊豆半島に一番観光客数が多かったのは、昭和63年だろうと思います。この時の観光交流客数が7344万人で、宿泊された方々が886万人という数字が出ております。平成6年度は48万人で、宿泊は203万人でした。比べて見ますと、かなり大きな数字の違いがあります。6年度は花博、今年は愛知の地球博があったということで、いろいろな理屈をつけて減少している答えを出している気がするのですが、実は、お話の中にありましたように平成5年の数字をみてみましても、そうしたイベントに関係なく減少しているわけです。一つ救われるのは、伊豆にこられる観光交流客のうち約30%の方たちが宿泊されていることです。やはり温泉の魅力があるということではないかと感じています。
今、伊豆の観光を考えてみますと、3つのポイントがあるだろうと思います。つは全体的に伊豆の交流客数、宿泊客数とも低下の基調にあるという事実です。2つ目は最近の傾向として女性の客層、中年のお客さんが増えています。平成5年度の男性の割合が43・5%、女性は56・5%。年齢層をみると、20歳台以下が22・%、30歳台から40歳台が26・8%、そして50歳代以上が5・3%です。年齢層の問題もこれからのポイントになっていくのではないかと思います。もうつは、客の内容はどうか見ていきますと、ご夫婦で来られる方が24・6%、そして子供連れの方が9%、ご家族の中でお父さん、お母さんをお連れになる、または3世代を含めますと33・6%がご家族という形になっています。そして知人友人が20・2%となっています。
地域はどうかというと、やはり関東圏が70・9%と圧倒的に多く、リピーターとしてどんな傾向だろうと見てみると20回以上伊豆に来ておられる方々が29%、0回から9回が27・7%でした。
 伊豆のこれからの観光の問題を考えた時、この3つのポイントを考えていくのも、これからの大きな考え方ではないかと考えているわけです。

坂本 続いて村田会長、お願いします。

村田 私は伊豆半島の最南端の町南伊豆町の観光協会長をやらせていただいております。私の町は観光で飯を食べている町です。現状ですが、旅行客のニーズが非常に変わっている。私も小さな旅館をやっているわけですが、団体客が非常に減って株式会社とういう名前で旅館に入ってくるのは%くらいしかありません。キャパがいくら多くても、お客様の入る人数は少なくなってきているのが現状だと思います。
私どもの町からお客さんをお迎えするということになりますと、東京から80キロから20キロという圏内を市場としているわけですが、例えばシーズンになりますと、8時間かかったとか0時間かかったと。こんなような時間がかかっているわけです。今、成田から飛び立ちますと0時間あればサンフランシスコぐらいまで旅が出来るわけです。そういうことから「伊豆は混むよ」というのが、皆様に広がっていると思います。決して道路事情が悪いからお客さんが減ったとは申しませんが、そういうことは事実ではないかと思っています。
 それから最近の傾向としましては、旅館というのは今までハード面の競争が非常に激しかったわけですが、最近では社員教育とか、そういうものに力を入れて何とかお客様にたくさん来てもらえるように頑張っているところです。


不十分な増える日帰り客への対応

坂本 大口さん、ご当地の評価なども含めてお願いします。

大口氏

大口氏

大口 JTBパブリッシング宿泊情報部の大口です。私は温泉と宿に関します「るるぶ情報版」やムックを作っております。先ほどらい、伊豆の観光入り込み客が減少しているというお話がありましたが、JTBの調べによりますと、観光動向は国内旅行、海外旅行ともに前年を上回り、順調に推移していますが、残念ながら伊豆エリアは一部の地域を除いて横ばい、もしくは減少という傾向にあります。
大きな原因は台風や地震による天災によるところと、昨今の海水浴の不振によるところが大きいと思います。ただ伊豆の現状をあげるとしたら、私も3つほど原因があるのかなと考えています。
まずつは交通アクセス面です。東伊豆、中伊豆は鉄道が通っており、東京や東海圏からはとても近くて本当に便利な場所だと思いますが、ご紹介があったように南伊豆など不便で行きづらいところもあります。それと伊豆の中に入ってからの、いわゆる周遊するための2次交通が決して便利ではないと思います。
2点目は、トレンドの変化だと思っております。レジャースタイルが見物型から周遊、滞在型に、団体旅行から個人旅行に移っております。温泉といえば泊りがけが当たり前に思われていたと思いますが、交通事情の発達で今では日帰り客が増えてきています。この変化に対ずる対応が急がれていると考えられます。
3点目は安心して行ける観光地なんだけれども少し物価が高いのかもしれないなと思っております。宿泊料金について私どもの本のアンケートなどを見ますとボリュウムゾーンが万円から万5000円という方が36%ぐらいいらっしゃいます。伊豆の宿泊料金を見ますと30%ほど高いのかなと思っています。
そうはいっても伊豆は全国に知られる温泉地とか観光地が何個所もあり、豊かな温泉とか、おいしい味覚、美しい風景に恵まれて、集客に結びつく資源が豊富にあって他県から見たら羨望の地であるということは変わらないと思います。

坂本 観光のトレンドの変化のところで周遊型、日帰り型になっており、特に日帰り型という観光ニーズに対して十分対応できていなんじゃないかというご指摘がありました。データをみても、この0年間で静岡県の宿泊客は減ってきていますが、日帰り客については4%増加している。伊豆地域は、0年前が305万人、平成5年データが3039万人で、増加は0・8%です。明らかに日帰り旅行という観光ニーズに対して対応が不十分であることが、この数字からも証明されているような感じがしました。それでは静岡県空港部長の谷さん、おねがいします。


競争相手が広がった

 伊豆とはお付合いが結構あります。今までデータが出ていますから、私はごく簡単に感覚だけでお話します。つはアクセスの問題が勿論あるんですが、もうつは競争相手が広がったということをもっと意識した方がいいんではなかろうかと思います。昔だったら首都圏の人たちは日光辺りと伊豆辺りに来ることが手近なことだったと思うんです。高速道路網とか新幹線網、飛行機で、いまだと北海道は当たり前です。勿論、国際的にも取られています。だからそれだけの競争をしなければならないということが一つあると思います。
もうつは、これも経験なんですが、もう少し楽しませてくれないかなということがあるんですね。ふらっと熱海に家族で泊まりに行きました。翌日は時間がありますので、明日何をしようかと家族で考えはじめ、フロントに行った時、観光協会で作っているマップすら「ありません」と。かつて大阪で観光の売込みをやった時にある大手の旅行エージェントの企画マンに、今の観光は飯はうまくて当たり前、旅館もそこそこで当たり前。行って何を楽しめるのかが大きいということを、熊野古道の例を引いて説明してくれました。是非、楽しませていただきたいという感じがします。

坂本 ありがとうございます。4人の方に共通しているのは、観光ニーズが決して衰えているわけではない中で、静岡県の一番の売りである伊豆地域の落込みが特にひどいと。しからばどうするかということで、それぞれお話願いたいと思います。


区切りを付けていくことが大切

望月氏

望月氏

望月 伊豆の観光客が減っているのにはいろいろ原因があると思うんです。それらの中でいくつかを挙げ、それを解決していくことを皆で一緒になって考えていくことが、やはり大切なことではないかと思います。
 その点目として、大競争時代といいましょうか、全国で観光を主体にまちづくりを考えてきている時代にあって、本当に危機意識を持っているんだろうかということです。第2点目は、交通体系の問題があるわけです。今までの首都圏依存型の体質というものを脱却しなければいけないと思っています。観光のニーズそのものが変わってきていますので、それに対応して、各地区の個性的な観光資源をもっと表に出していくことが必要ではないか。資源の活用不足、そして点と点を結ぶ連携が不足していると考えております。
そして過去の良かった時代、これを何とか一度払拭をしなければいけない。またエージェント依存体質をもう一度見直してみること。もう今はエージェントを使わないでどんどん自助努力でやられているところが成果を挙げてきているわけです。また、観光業界が、地域との連携が本当に出来ているんだろうかと。地域の方々への働き掛けが不足しているのではないだろうか。市民の参画をいただくようなシステムに欠けているのではなかろうかと思います。
こういう問題と同時に併せてこれからのアジアからの交通アクセス等の問題、これが最終的にはコミュータの施設の問題につながっていくわけですが、この辺の問題をきっちり考えて行きたいと思っています。いずれに致しましても、こういう時代という認識を改めて考えて、今までの問題に一つ区切りを付けていくという意識が大変重要だと考えております。


もう一度入院したくなる病院

坂本 私は実はこの前、千葉県の鴨川に行ってきました。東京から外房線で2時間半くらいの人口は3万5000人の小さな市です。とても立派な病院があったものですから、病院の調査に行って来たんです。静岡県の病院をはじめ殆んどが数億円から中には20億円の赤字を出している。病院たるもの赤字が当然だという流れがありますが、その病院は昨年の決算で5億円の黒字で、殆んど5億円以上の利益を上げているという病院です。日に外来客が3000人位。ですから年間に00万人以上になります。3万5000人の町ですから当然地域だけではなく、遠くは北海道、沖縄からもたった日の入院のためにやって来るという、それがすごく鴨川に対する集客装置になっているという感じでした。亀田総合病院で、ホームページを見ますとお客さんの書き込みがありまして、その評価を紹介すると、「もう一度入院したくなる病院」というんです(笑)。3階くらいの建物ですが、病院でお亡くなりになった方のための霊安室が地下の暗く冷たいところではなく、一番上の3階にあるのです。「天国に一番近いから」と。二の句が告げなかったんですが、見晴らしのいいところで、そこだけでも集客装置になっている。交通インフラとか、ロケーションという問題だけではないと。業者自身の問題も大きいんではないかということを言いたかったものですからご紹介しました。村田さん、いかがでしょう。

昔の景色を戻したい

村田氏

村田氏

村田 私どもの町では、町全体を庭のようにしようじゃないかと庭園構想を持っています。30年、40年前の伊豆半島は新婚旅行のメッカでした。かつて新婚旅行に来ていただいた方たちがおじいちゃん、おばあちゃんになられ、孫を連れてくるわけです。その時に「景色がわからなくなった」という声をよく聞くわけです。というのは、山が荒れていまして雑木林がどんどん大きくなり、海を背景に新婚旅行の時に写真を撮ったが、今は全然海が見えなくなっていると苦情も出ているわけです。伊豆の場合は伊豆箱根国立公園ということで、枝を切ったりすることが非常に難しいわけです。これを何とか、道路、あるいはバスの中からでも昔の景色に戻していくことが必要じゃないのかと考えています。
それから花の問題ですが、わが町にも南伊豆桜という立派な桜があるわけです。こういう花はいろいろ考えてみますと、私どもが自然と融合していくようなものが今のお客様のニーズにあうテーマではないのか。例えば私どもの海岸に生えている浜ダイコンの花は、市場には絶対出ない花なんですね。咲いている日数は1ヵ月ぐらい咲いているんですが、花を切ってしまうと水揚げが悪くて日持ちしない。そういう野草の花が皆さんを癒す。そういうものを見せていく伊豆半島を作っていくことが大切だと。町民の皆さんが出来ることから一つひとつやっていくことが大事なのかなと考えております。


現代的なプチ湯治に注目を

大口 私は、伊豆観光の最大の魅力は温泉と美しい風景のある自然景観にあると思っています。それらを如何に保護して活用することが出来るかということが伊豆の再生につながるのではないかなと思っています。スタイルが見物型から滞在型に変化をしてきているように温泉旅館にも変化が求められてきていると思います。ただ風呂に入って、おいしい食事を食べればいいということでは不十分で、健康や美容のために温泉を楽しみたいという方が増えてきています。
最近、女性は旅館にエステとかマッサージ施設が充実していることは当然望みますが、男性の方でも温泉浴による治療や健康医療といった医療面や健康面の効果を期待している方が多いです。かかりつけ湯というウエルネスの試みをなさっていると聞いておりますが、こういう心と体の健康維持のための現代的なプチ湯治というものにこれからは注目していったらどうかなと思っています。
プチ湯治をするお客様は1泊だけなく連泊になる可能性がとても高いお客様だと思います。また、気に入っていただければ何回も足を運んでくださるとてもありがたいお客さま層ではないかと思います。
もう一つ、快適で便利だということは大切な反面、旅行客のために利便性を追求し過ぎますと、その土地ならではの良さがどんどん減っていくと思っています。旅行者はとてもわがままで、矛盾すると思うんですが、快適で且つ、その土地ならではのものを旅にすごく求めているんですね。お話があったように浜ダイコンの花とか、その土地でしか見られないものですとか、その土地でしか食べられない味覚ですとかを、求めているので、伊豆ならこれというイメージ作りをお願いしたいと思います。伊豆のオンリーワンというものを是非作っていただけたらいいなと思います。
旅の主役になる人は今、20代から30代後半の女性たちではないかと思います。この人たちが好むものを、キーワードとして挙げるならば、清潔、限定ということと。都会人が好む田舎作り、本当の田舎では駄目なんですね。やはり自分たちが暮しているものの延長線上に田舎があるというのが、今求められているのかなと思っています。


アクセス改善の一環としてコミュータが登場

坂本 いろいろなヒントをありがとうござました。では、谷さん、コミュータについての可能性というか、その点、お話しください。

谷氏

谷氏

 コミュータは、どちらかというと離島ですとか過疎地ですとか、鉄道や道路を敷きにくいところに小さな飛行機かヘリコプターで行こうかと。要は飛行場って本当は安いんです。レールを敷くことを考えたら遥かに安い。
実は今、航空事情が独占的な航空会社が皆を強制的に大きな空港に集めて、他の大きな空港まで連れて行って、後はお客さん、乗り換えて行ってくださいという面倒をお客に押し付けていた状況から、そんなことよりもポイント・ツー・ポイントということで、都市間を直結して短時間で行き先に送り出すのがサービスだという風に変わってきているんです。この辺からリージョナル航空は都市間直結ということがいわれますが、その延長上で面白いところがあれば、どんどん直結していった方が早いということでコミュータなんですね。信号がない交通というのは本当に速いんですね。ですから海も非常に速いと。船は比較的大量な輸送なんですが、少量であってもピストンでできるだけ短く人を連れてきてしまおうというのが、今のコミュータの考えです。
静岡空港は土地収用法の適用で、確実に出来ていくだろうと。となると、3年半後には飛行機が飛んでいる。そこに如何にたくさんの便を連れてくるかということが県空港部長としての私の役目だと思っていますが、そこに来たお客を伊豆まで引っ張り込んでもらうか。そこのところでアクセス改善の一環としてコミュータが登場するのではなかろうかと思います。
私は、連れてきたお客さんが伊豆に行きたくなるようなものを是非作ってもらいたいと思います。伊豆の面白みとうまみを知った人は、市長さんがいわれたようにリピーターになっている。しかしリピーターになる前段階で、せめて地域ごとにいろいろなオプショナルツアーを作って、旅館という旅館は全てフロントで紹介していただきたい。遊ばせるためのサービスを出来るだけたくさんやることが次のリピーターを作るんではなかろうかと思います。そうすればお客さんを連れて来がいがあるんではなかろうかと思います。


誰がどんなふうにコミュータ構想を進めるのか

坂本氏

坂本氏

坂本 市長、コミュータは久しぶりに夢のある話ですが、現実は国も県も市町村も合わせて000兆円を超すような借金を抱え、一般の市民感覚からすると公共事業に対する目線が非常に厳しくなっている。単純に役所が作れという話ではないと思うんです。そうしますと、一体この構想を誰が、どの様な主体で、どう進めるのか。検討しなければいけない課題は山積していると思いますが、誰がどんなふうにこのコミュータ構想を進めていったらいいのか、試案でも結構ですからお聞かせいただけますか。

望月 私は、道路を作る建設費と比べたらずっとコミュータ空港の方が安いと思っております。伊豆は、正直申し上げて平らなところが少ないものですから、そういう面では難しい問題もたくさんあるわけです。しかし上から見てみますと、こことここならばできるなというところは何個所かありあます。そういう意味では可能性としては大変あると思います。同時に空港の近くにモータープールを作って、そこからすべて発進をしていくような形を作れば各地区の道路の問題は、そんなに大きな問題ではないだろうと思います。
行政で話し合いをしながら各業界のみなさんのご意見をいただいていくという方向に持っていくことが、まず先なのかなと考えております。いずれにしましても、伊豆創造祭のときに出されました伊豆ナンバーの問題、田方郡の中で初めて出されたものですが、その時に動く広告塔をやろうと出させていただいたわけです。それが進んで、現在ようやく伊豆ナンバーが三島市さんのリーダーシップで出来上がってきているわけです。それを考えていきますと、伊豆全体でこの問題はきちんと話し合いをしながら考えていくことが大切だと思います。どこがリーダーシップを取るとかという問題ではなくて、これからの伊豆全体の問題として行政が主体となって物事を考えていく。それを各業界の皆さん方に後押しをしていただくということがまず先にやることだと、私は考えています。

坂本 少し前の話ですが、新幹線の掛川駅ができる時、従業員500人以上の会社は是非とも億円以上、掛川に世帯を構えている方は世帯あたり0万円以上出していただきたいと市が寄付を要請し、かなりの確度で賛同を得て出来た新幹線駅だということは知る人ぞ知る事実ですが、その意味ではあの掛川駅は、私は掛川市民駅ではないかと一昔前にいったことがありますが、コミュータ空港についても恐らくそのような働き掛けが必要ではないか思います。村田会長、コミュータについての思いを、どうぞ。


コミュータ空港は安い

村田 私どもはコミュータ空港の話を聞きまして、産業5団体の皆さんが集り是非、場所はいずれにしても、コミュータ空港を作って欲しい、つくろうじゃないかというような意見です。できれば賀茂郡の方に欲しいなと、身勝手な話ですが。
ちょっと調べてみたんですが、飛行場というと非常にお金がかかるんだと思っていたわけですが、新幹線をキロ作ると大体70億円くらいかかるんだそうです。地価によって前後はあると思いますが、コミュータ空港ですと大体60億円くらいかければ出来るんじゃないかということです。空港事務所はプレハブとか別に格好をつけなくても、いい空港が出来るんじゃないかなと思っています。是非、本日お集まりの皆さんも応援していただきながら伊豆半島に、静岡空港が出来るわけですから、そこからのアクセスで、コミュータ空港が出来るようにお願い申し上げたいと思います。

 今、村田さんが空港は安いよと言ってくれましたが、東京の地下鉄はキロ通すのに200億円かかるんです。コミュータ空港の場合は機体がうんと軽いから、上質な道路を000メートルか、・5キロ作ればいいと思えばいいんですね。ただ飛行機の場合は機当たりの機材が高いからそれで料金が高くなるんですね。ここで忘れてはいけないのが、やはり日本というのは余程の大金持ちというのは別にしても均等に中流的になっているんですが、最近の調査だと上海の市民の割が数字上は年収が日本円で270万円になっている。購買力は4・7倍ですから、単純計算すると年収が300万円を超えている家庭が上海の人口の割以上だということになります。中国の臨海部は大体似たような部分があるから、かなりの部分がそうなってきている。タイだとかインドネシアの富豪は本当にすごい富豪で、その人たちはお金は惜しまないが、時間を惜しむ方なので、そうするとさっさと行きたいと。そうなるとコミュータ空港というのは、必ずしも静岡空港と結んでもらわなくても、いってみればタクシー代わりに使うのが出てくるのかなと。ちなみに今、シンガポールとタイのバンコク内の格安航空は、日本円にすると800キロ飛んで3000円です。静岡から大阪まで深夜便のバスで行くと8000円です。要は空自体がバス並みの時代に絶対に入ってくる。その時に時間を節約して、うんと金持ちがそれを使って特別にどんと持ってくるということをやると、伊豆は、もっとおいしく、そういうお客さんを食べれるんじゃないかと思います。



《会場から》コミュータ構想実現に向け、地域の皆さんに積極的にアピールを

坂本 まだ議論が不十分のような気もしますが、約束した時間ですので、会場のみなさんからご意見をいただきながら、もう少し深めるようにしたいと思います。いかがでしょうか。

会場 大仁商工会長の土屋です。コミュータもソフトの努力は当然であるけれども基幹的な整備の一環として促進をお願いしたいと思います。もうつは、伊豆のコミュータのテーマについてどんな状況かということですが、伊豆の人たちは飛行場というと羽田か成田、飛行機はジャンボジェットというのがまず浮かぶ話です。それから膨大なお金と時間がかかるという前提の中で、それだけのお金を個々に持ってくる政治力があるのかなというクエッションマークがつきまして、現状は「話は分るけれども実現できるのか」というところで様子見をしているのが現状ではないかと考えています。私は、このご出席の人数を見ていただいても分ると思いますが、非常に関心の高いテーマであるということの中で、坂本先生も夢といわれていますが、この夢を伊豆の人たちが共有して実現に向けてがんばるという中で、創造祭でも今一つ進まなかった、伊豆は一つとか、伊豆の人たちが一つの目的に向って努力するとか、いうようなことを、このテーマを道具として声をそろえる活動を展開していただきたいと思います。
観光のために施設を作ることは、伊豆の、少なくても中伊豆の住民にとってはまるまる手を上げ受入れられるテーマではありません。そんなこともありましてきょうご出席の皆さんは地域の活力づくり、経済に主体的に取り組んでおられる皆さんですので、今日のテーマで知識を得たことで、地域の住民の皆さんに積極的にアピールをして、このコミュータが実現すると。そのことによってどんなことが、どんな夢が開くのかを、是非訴えていただきたいということでありまして、意見とお願いであります。


《会場から》地域全体で支えていくシステムを

会場2 林です。コミュータが出来た場合に、例えば静岡空港からここまでのコミュータの料金、もう一つは名古屋のセントレア空港につないだ場合の料金というのはどんな試算をしているのでしょうか。

 残念ながら今の段階では料金設定がいくらぐらいかということは、ちょっと答えられません。そこまで言える材料がないんですね。結局、機材の値段とそこに載る搭乗員の人件費とかで算出されてくるわけです。しかしコミュータ航空の場合は0人乗りだとか20人乗りということになるでしょう。それだと乗務員の関係から決まってくると思いますが、頻繁に使われればこれは当然安くなります。

望月 料金関係等については全く検討していませんし、その段階ではございませんが、この間、北海道の函館から奥尻島へ行ってきました。全部で6人しか乗らない飛行機でしたが、往復で2万2000円余かかりました。もう少しお金もかかるのかも分りませんが、やはり料金設定の問題は、コミュータ空港の位置付けの問題だと理解しております。ですから、地域全体で支えていくシステムを作るべきだと考えております。これからの大交流時代、とくに中国人が億人も日本に押しかけてくるというような時代が、もうすぐそこに来ているわけです。そういう時代の中でどうしたら料金設定が安く出来るのか。それから第3セクターのような方式で、そういう問題を地域が支えるシステムを作れば、私は谷部長のお話にもありましたように、新幹線よりずっと安くて使える設定が出来ると理解しています。一番最初が肝心ですが、皆で作り上げるというシステムが必要ではないかなと思っておりまます。



自分たちから変わろう

坂本 最後に、もうお一方、お願いします。

会場3 富士宮から来ましたHKSの長谷川です。2点申し上げます。行政の人に動いてもらわないと出来ないことですが、私はきょう、富士宮からここまで来るのに東名を通って沼津に降りて、三島に来て、三島から降りてきたんです。4車線道路で真中に赤いポールがあるところはスムーズに流れている。ところがちょっと先に行ったら2車線のうち右車線は殆んどふさがってしまって流れないんです。なぜだろうと見ると、ある店に入ろうと台が右折で止まっており、なかなか曲がれない。そうすると後ろの車も止まって渋滞を起している。なぜ、伊豆では右折を禁止にできないんですか。次の交差点に行って左に曲がってUターンして次の信号で返って来て、お店に入ってくださいと。その道路が如何にスムーズに流れるように、皆さんが考えるかではないでしょうか。なぜ変わらないのか。伊豆はお客さんを迎えるというときに、大口さんのおっしゃるように変わらなければいけない。自分たちのエリアも。そのことを是非お願いしたいと。
もう点は、我々の会社も飛行機のエンジンをつくっていますが、飛行機ビジネスもまだまだいろいろな底辺を広げるということをもっと国の中でやってもらいたい。タイガー・ウッズが自分の飛行機を日本に持って来ても降ろしてくれる空港がないから、東京へ降りたいんだけれど、大阪の方に行ってやっと降りて、そこからヘリコプターをチャーターしてゴルフ場に行くと。こんな話を聞くと飛行機のことを本当にこれからの時代にという行政とユーザーサイドの視点に立った格好にしていかないと、駄目だということを是非皆さん、知ってもらいたい。プライベートの飛行機を持っている人が増えているわけですから、そういう人たちも来たいというような、他所のところとは違ったようなことを静岡空港も特長を持った空港にしていただきたい。


実行することが一番大切

坂本 長谷川社長にまとめをしていただいた感じですが、最後に「念ずれば可」という言葉があります。井上先生の話ですと、空港を作るのに最短で0年前後かかる。コストの問題も今、言われたとおりであります。夢のある苦労であればどんな苦労でも耐えられるんではないかと思います。久方ぶりに伊豆半島全体がワクワクするような夢といいますか、プロジェクトというのがきょうのテーマのコミュータ空港ではなかったかと思います。是非掛け声倒れではなくて、皆さん方が言われましたように、行政なり、商工団体なりが音頭とりし、何か、産学官と住民も含めて日も早く、サンフロント等を中心に、農家も家庭の主婦も、おじいさん、おばあさんも巻き込んだ形の中の、会を早急に作って進めていただきたいという感じが皆さん方から伝わってきた感じがします。考えることではなくて、やはり実行することが一番大切であります。何か具体的な姿、形として歩いていただきたいと。そんなことを念じながら終らせていただきます。


コーディネーター
坂本光司氏

昭和22年6月静岡県大井川町生まれ。浜松大学教授、福井県立大学教授等を経て、平成16年4月より静岡文化芸術大学文化政策学部教授・同大学院教授。他に法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科客員教授、福井県立大学招聰教授、静岡大学、静岡県立大学講師。58歳

パネリスト
望月良和氏

昭和16年10月2日生まれ。昭和35年3月静岡県立韮山高等学校卒業。昭和38年3月日本大学短期大学部商経学科卒業。昭和40年1月いさぶや印刷開業。昭和54年2月いさぶや印刷工業椛纒\取締役就任。昭和62年〜平成3年大仁町議会議員(1期)。平成3年4月〜平成!7年3月31日大仁町長(4期)。平成16年5月〜県立大仁高等学校後援会会長。平成17年4月伊豆の国市市長就任。64歳

村田俊英氏
昭和17年6月下田市に生まれる。昭和38年日本テレビ技術専門学校卒業。38年〜47年三原電気下田支店店長。昭和47年国民宿舎『弓ケ浜』開業。昭和51年7月『弓ヶ浜ロイヤルホテル文雅』オープン。平成5・6年度下賀茂温泉旅館協同組合監事。平成7・8年度下賀茂温泉旅館協同組合副理事長と南伊豆町観光協会常任理事。平成9年度南伊豆町観光協会副会長。平成9・10年度下賀茂温泉旅館協同組合理事長。平成10年度から南伊豆町観光協会会長。63歳

大口裕美氏
株式会社JTBパブリッシング宿泊情報部宿泊情報編集部編集長。昭和52年、鞄本交通公社に入社。海外旅行専門支店に配属。昭和55年出版事業局に異動。国内ガイドブックの編集、るるぶ情報版などの編集に携わり、るるぶ情報版編集長を経て平成16年4月から新設の宿泊」情報部に配属。文字通り、全国の温泉と宿を編集する専門の編集部で温泉と宿のるるぶ情報版やMOOKの制作に携わる。

谷和実氏
昭和22年2月生まれ。昭和46年3月京都大学法学部卒業。平成6年4月企画調整部企画調整課長補佐。平成7年4月企画部企画課調査室長。平成8年4月企画部学術・大学課長。平成9年4月企画部企画課長。平成11年4月首都圏担当局長兼東京事務所長。平成13年8月商工労働部長。平成16年4月県理事兼広報局長。平成17年8月空港部長。58歳



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