サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
トップ 最新情報 政策提言 活動内容 サンフロント21懇話会とは 飛躍 風は東から

活動内容
平成20年度の活動方針

活動報告
平成24年度
平成23年度
平成22年度
平成21年度
平成20年度
平成19年度
平成18年度
平成17年度
平成16年度
平成15年度
平成14年度
平成13年度
東部地区分科会 パネル討論  2月17日開催
「富士山静岡空港を生かした東部地区の地域活性化戦略は」
東部地区分科会 パネル討論

◆コーディネーター
中山 勝 氏 ((財)企業経営研究所常務理事)

◆パネリスト
山口 建 氏 (静岡県立静岡がんセンター総長)
稲田 精治 氏 (三島信用金庫理事長)
佐藤 三武朗 氏 (日本大学国際関係学部長)
諏訪部 敏之 氏 (丸善工業(株)会長)


県内の信金が連携し台湾へのチャーター便と定期預金実施

中山 地方空港で富士山静岡空港のように国内外と定期路線を複数持つことを他県の皆さんはうらやましく思っています。どんな形でこのようなものが出来たか、よく聞かれ、富士山静岡空港に非常に興味を持っています。まず稲田さんに口火を切っていただきたいと思います。三島信用金庫さんは早くからこの空港を使おうと計画し、独自のチャーター便を企画したり、県内の信用金庫と連携して富士山ジェットドリームという定期預金を行い、3万件を超えたとお聞きしています。富士山静岡空港利用のメリット、またチャーター便の話など具体的な事例を紹介していただければと思います。

稲田 6月10日から3泊4日で台湾にチャーター便を飛ばそうということになっています。もう一つ、私ども信用金庫業界は県内に12信用金庫がありまして、富士山静岡空港が開港するにあたって、何かわれわれに出来ることはないかと検討した結果、まず協力できるのは定期預金で空港をお客様に知っていただこうということでジェットドリーム預金をやらさせていただいております。昨年発売しまして、3月末までの予定ですが12月末に3万件のお客様に定期預金をつくっていただきました。ということは3万人の方が富士山静岡空港に大変大きな関心を持っていただいたということではないかと思っています。この3万人の方はサポータークラブのメンバーということで、第1回の会報誌をこの1月に発刊しました。
 内容は富士山静岡空港の利活用の問題、北海道紹介ということで情報提供しました。われわれのところに来てもらうには、相手のところをまず紹介するということが大切ではないか。例えば、われわれは富士山静岡空港の利活用を考えた場合、お客様にただ来てもらうのではなくて先にこちらから行こうと。そして行った結果皆さんに、じゃあ伊豆にも行こうという気持ちを持ってもらうことが大切ではないかということでチャーター便についても、今回のジェットドリーム預金についても考えました。
 私は昨年8月に帯広信用金庫の理事長に空港が出来るから是非来てもらいたいと手紙を出しました。そして松崎の伝統工芸の流れをくむ光る泥団子「栄光球」を帯広に行く人がいたのでお願いして理事長に届けてもらいました。向こうからはお礼の手紙と六花亭のお菓子が届き、東京である全国信用金庫協会の総会でお会いしようということになりました。個々で民間外交がスタートしたと思っています。
 帯広と松崎、どういう関係があるかと言いますと、松崎の出身の依田勉三が慶応大学在学中に福沢諭吉から開拓の精神を学び、それを実践しようと北海道の十勝の開拓に入り、彼は「十勝開拓の父」と呼ばれています。その縁で中学生がこちらに修学旅行で来ており、大人の方にも是非ここを見てもらおうということでお願いしたんです。私どもの信用金庫の場合、多くの地域との連携に取り組んでいるものですから、そういう輪を広げていきたいと思っています。
 私がなぜチャーター便を飛ばそうと考えたかと言いますと、いま、社会構造が大きく変化していると。今回の世界同時不況も社会構造の変革の中で発生しており、その要因が3つあると思います。それは少子高齢化、IT化、そして国際化、この3つが大きく影響していると思います。
 少子高齢化とも関係していますが、日本は観光立国ということで2003年に観光立国宣言をしました。そしてビジットジャパンということで、1000万人の外国人を日本に呼び込もうということです。この国際戦略を今日本が進めている中で、昨年10月に観光庁ができ、県では観光局がコンベンション室から昇格している。そういう状況の中で東部地区、伊豆半島がいかにそれを活用するかということが今一番求められているのではないか思っています。

中山 百聞は一見にしかずということで、富士山静岡空港の利用を考え、そして定期預金の関係ではもうビジネスチャンスとして生かしている感じがしました。続いて山口さん。東部地区のリーディングプロジェクトと言えばファマバレープロジェクトですが、その中核が静岡がんセンターです。ファルマバレープロジェクトと富士山静岡空港のかかわり、どのようなメリットがあるとお考えですか。

静岡空港開設をどう自分のビジネスにつなげるか考える必要がある

山口 建 氏

山口 建 氏
山口 きょうは2つの視点を考えるといいのかなという気がしています。1番目は、静岡空港を利用して外に行く人、それから来る人、これは世界の各地から静岡空港にやってくる人、もう一つ大事な要素があって静岡空港は利用しないけれどそれを使って稼ぐ人。このグループをしっかり考える必要があって、静岡県東部の方々はここの部類に入る方が一番多いのではないかと思います。静岡空港開設をどう自分のビジネスにつなげるか、この辺を考える必要があると思います。
 もう一つの視点は、観光心理学といいますか、例えば交通機関を使っていく人と自家用車で行く人では全く話が違うと思います。公共の交通機関を使っていくという視点に立つと、バスも東部にはあまり来ないかもしれない状況では、静岡がんセンターの職員が国内外に行く時に静岡空港を是非使ってとは言いにくいです。羽田の方が時間、便利さなどでまだ上だと思います。しかし自家用車を使う人にとってみれば、交通渋滞のないままで空港まですっと入れるという観点から言いますと静岡空港を使うメリットがどんどん出てくると思います。そういう細やかな分析をこれからしていく必要があると思います。
 稼ぐ人は、静岡空港に関して今静岡県はずいぶん必死になって全国、海外にまで宣伝をしているわけですから、その中で静岡県東部であるプログラムをしっかり見せれば、そこに飛行機を利用しないで首都圏からいっぱい入って来ると。あるいはお土産でいいものが出来ればどんどん売れる。北海道の生キャラメルというのは、最近ではいい話だと思いますが、ああいうものを静岡県東部で一生懸命考えているという話をあまり聞いたことがないので、その辺のことを考える必要があるのかなと思います。
 ファルマバレープロジェクトが走りだして数年の月日が経ちました。最終目標は、米国マサチューセッツではハーバード大学の周りに医療関係の数千の企業群があるんです。ハーバード大学医学部と関連した企業群です。しかしハーバードは400年以上かかってそういう状況に達しています。
 静岡がんセンター、あるいはファルマバレープロジェクトの中で今、多分100から200社ぐらいの、弱いものも含めれば企業群が出来上がっています。要するにクラスターはでき始めているんです。これをできるだけ短期間のうちにハーバードとはいかないけれどクラスターをしっかりさせて、その中から1社でも2社でもミニマイクロソフトぐらいのものをつくれればというのが私どもの目標です。
 医療健康産業が中心をなすわけですが、120%右肩上がりの産業であることは間違いありません。GE ジェネラルエレクトリックにしても、マイクロソフトにしても次世代の目標は医療産業です。医療情報というのが彼らの大きなターゲットになっています。
 様々な問題はあります。敷居が非常に高いとか、さまざまな課題はありますが、その辺に向けて進めていくファルマバレーということで、頑張っていきたいと思っていますが、今富士山静岡空港をファルマ関係で使ってもらえるかというとそれほど多くはないだろうと。しかし産業観光の中で静岡がんセンター、あるいはファルマバレープロジェクトを全国の都道府県、確か今30から35ぐらいの都道府県が見学、視察に来て、そのうちの20都道府県は静岡がんセンターの中で県議会厚生委員会を開いたんです。そういう視察団を含めればこれから少しずつ人数は増えていくだろうと思いますし、その議会の方々が来られた後の次の視察というところも大きなターゲットになっていくかと思います。
 静岡空港を考える上で、東部の人たちは是非稼ぐ人になって、チャンスがあればどんどん使う。それから来る人、行く人の心理をもう少し考えて、それに対応できるようなさまざまな工夫をする。そしてファルマは一つの大きな柱に、これからなっていくであろうと思います。

市民力をフルに発揮すべき時

佐藤 三武朗 氏

佐藤 三武朗 氏
中山 稼ぐ人という発想というのは新たな視点なのかなという気がしました。佐藤さん、日大の国際関係学部は90名弱の留学生がいらっしゃいます。学部の中には伊豆地域の観光を考えたNPOも設立されています。富士山静岡空港が教育とか、地域の交流などいろいろな側面で関係してくると思っていますが、いかがですか。

佐藤 私は毎年、リュックサックを背負って世界を回っていますが、世界を遊び歩いて帰ってくると、この伊豆の素晴らしさを再発見します。富士山静岡空港の開港は、まさに伊豆の発展の千載一遇のチャンスであろうと信じています。
 私は、まず観光は総合芸術であると。そして地域力、3つ目は伊豆は宝である。4つ目はおかみさんの活用―この4点からお話したいと思います。
 私は、人生は舞台であると考えています。伊豆はまさに観光事業にとって最高の舞台であると思います。大学に原田眞人監督を昨年から教員としてお呼びしておりますが、この伊豆を映像化して欲しいと思い、彼の作品「クライマーズ・ハイ」を見に行きました。うらやましく思ったのは、監督は大道具、小道具、衣装、メーキャップと、あらゆるものを想定します。まさに映画は総合芸術ということを実感しました。観客の感動、これを与えるにはあらゆる技術を駆使してやっているということです。人々が求める心の豊かさに大きな味付けをするかなりの人であると感じました。
 私は中学校からずっと運動部でやってきまして、攻めよということを指導され、教わりました。今、何か忘れているのは、この攻めという言葉ではないかと思います。ちょうどいい時に富士山静岡空港の開港ということで、まさに市民力を総動員する、市民力をフルに発揮すべき時だと思います。もう自立救済しか残されておりません。
 伊豆は本当に宝であると思います。川端康成の言葉を借りれば「風景の画廊である」となります。近代史、近代文学、現代文学はこの伊豆なくして語れません。伊豆は非常に素晴らしいと。とくに中国の方々、北京大学と姉妹提携しておりますが、伊豆というと教養人は名前を知っております。そして冬、秋に来ますと旧道、踊り子街道を案内いたしますが、いたく感動して、是非この伊豆に住みたいと。というわけで風景、自然、文化の宝庫である伊豆をこれからどんどん売り込んでいくべきではないかと思います。
 そして、おかみさんの素晴らしさは、茶道、華道、書道と何でも知識があります。川端康成が19歳の時に孤独を癒すべく、湯ヶ島を訪れ湯本館に滞在しました。何故であろうかと。行くたびに想像しますが、何ということはない。私はあのおかみさんが素晴らしかったと。2、3歳で両親を亡くし、またすぐにお姉さんを亡くし、おじさん、おばあさんも亡くし、天涯孤独の繊細な、鋭敏な学徒であった川端が癒されたのはおかみさんだったと。それから10年間、ほとんど毎年来て、1年間滞在したこともあります。
 諸外国のお客さんが来た時は必ず伊豆の旅館に滞在してもらいます。欧米のホテルと違い、日本の旅館では入ったらおかみさんの世界に包み込まれていきます。本当におもてなし、あるいは癒し、心の潤いがあり、フランスのシラク大統領は数十回修善寺に来ていたということでありました。精神の安らぎを求める場所であったと。日本人だけではなく諸外国の人にとっても異文化の人にとっても素晴らしいということです。
 2月22日は伊豆マラソンを実施いたします。この時、市民力ということを感じました。学生の力、これもフルに動員していこうと。三島市、伊豆の国市、伊豆市、函南町と3市1町にまたがっていて、函南町の町長さんが3市1町を全部まとめてくださって数カ月で1600名の応募がありました。2月22日が終わりましたら、来年に向けてすぐに行動を起こそうと。やはり出会いということで3市1町の皆さんがまとまって力を合わせて、この伊豆の発展に尽力すれば伊豆は限りなく夢の舞台にもなると考えています。
 癒し、潤い、もてなし、こういった世界はまさにおかみさんが持っている世界で、これを活用すると、また新たな観光が開けるであろうと、地平が開けるであろうと思っています。

東部を活性化するためにも是非貨物便を取り入れてほしい

中山 諏訪部さん、富士山静岡空港について、このごろは評価が変わって来て、「いや使うよ」という声が上がって来ていると聞いていますが、果たしてそれは本当なのか。評価が変わった理由は何か。お話しいただけますか。

諏訪部 私は実は飛行機が嫌いなんです。怖いんです。ですからなるべく乗らないようにしています。しかし飛行場は好きです。富士山静岡空港のストラップを3年前にもらいましたが、未だに持っているんです。
 私どもの会社はいろいろな機械を作って、海外に輸出しております。アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアに。いろいろな国から輸入もしております。全国に約400社の代理店を持っておりまして、10カ所の営業所を持っていますので、嫌いですが飛行機に乗る機会は結構多いわけです。
 確かに2、3年前までは静岡空港なんか要らないよという声がありました。この間、20人に静岡空港を使うかと聞きましたら19人がビジネスでもプライベートでも使うと答えていました。一つは交通アクセスが悪いんじゃないかと騒がれましたが、聞いてみるとそうでもないなと。意外に近いんじゃないかということで意識が変わってきたと思います。
 もう一つ、私は、静岡空港はわれわれ静岡県人のものだと思います。われわれが育てていくものではないかと。そういった面で私たちもだんだんこれは俺らの空港だという認識が出てきた。これをつぶすのも生かすのも、われわれ静岡県民の責任じゃないかという意識が高まってきたことを私は嬉しく思っています。
 静岡空港のメリットは何か。私なりに考えてみましたが、月並みですがいろいろのお客様がお見えになって、人的なつながり、人的交流ができるのではないか。それよりも大事なのは貨物便でのモノの物流は非常に大事なことだと思います。東部を活性化するためにも是非貨物便を取り入れてほしいと思います。
 今、われわれが送る場合は、羽田が主で、あと関空、一部セントレアですが、静岡に貨物便が着けば国内運賃が助かるということで、いろいろなメリットが出てくると感じます。いろいろな問題はあるでしょうが是非貨物便についてはご尽力を賜りたいと思います。私どもも大いに貨物便を使うように努力してまいりたいと思います。
 静岡は非常に気候が温暖です。12月に県庁所在地で雪が降らない市が全国で2つある。那覇と静岡市です。飛行機も雪で欠航がありますが、静岡空港の場合にはそういうことが少ないことも一つのメリットではないかなと思います。
 私ども、国内外のお客さまに盛んに富士山静岡空港のPRをしています。6月4日開港するからできたら来てねと言いますと、皆が行くよと言ってくれます。人が集まる空港になることは間違いないと思っています。

富士山の一番の魅力は雪の白さ

中山 富士山静岡空港を考えていく時に、東部の地域の強みは何だろうかというと、基調講演でも静岡の認知度は富士山と伊豆と指摘されました。弱みとしますといい素材を加工していないんじゃないかとよく言われます。そしてその脅威となりますのは、地方空港の中で最後の最後にできたという形で、地域間競争もあるのです。山口さん、東部の方というのは地域の資源をうまく使っていると思いますか。

山口 自分のところにある素晴らしいものをこれほどアピールしないものかと思っています。私は、とくに三島の方には常々申し上げているのですが、三島は箱根、伊豆の入り口だと。
 富士山に関しては、京都に円通寺という比叡山を借景にした庭が大変きれいなお寺があります。1000年以上昔に当時の天皇が比叡山が最も富士山に似て見える場所という基準で選んだお寺です。それほど富士山というのは歴史もあるし、皆が思ってきた山ですのです。観光心理学と申し上げましたが、この観光は非常にシンプルで一瞬でも富士山を見ていただければ60点は取れるわけです。あれもこれもというのはボケますので、やはり富士山を見せる。
 富士山の魅力が山梨との競合になると皆さんがおっしゃるんですが、私はこれは大いなる誤りで、やはり富士山の一番の魅力は雪の白さだと思います。生理学的に雪の白さが一番きれいに見えるのは静岡県の東部、要するに太陽を富士山に当ててその反射光を見るのが一番色がきれいなんです。山梨は全部逆光の富士山ですから本当の色が見えない。富士山の本質は白雪をどれだけきれいに見せるかで、本当によく見えるのは静岡県側しかありません。
 北海道や東北の人が雪の中で埋もれて暮らしている中で、桜が咲いて菜の花がきれいに咲いて暖かい場所なんてないです。富士山とそういう魅力を空港と併せてしっかりと地元の人が考える必要があって、それが出来ればこの事業は大成功ということになるのではないでしょうか。

佐藤 やはり富士山はシンボルですから全世界の人が感動します。国内も含めて。私は山口先生のご意見には全く賛成で、外国人が来た時、隠れている時は困るんですが、十国から見る富士山もすごいです。満月の時の夜の富士も幻想的で素晴らしい。富士山は女性のような美しさを見せますからこれは世界の人たちが、老いも若きも感動しますね。

皆さん一人ひとりがメッセンジャーになってやっていくことが非常に重要

稲田 精治 氏

稲田 精治 氏
中山 稲田さん、お仕事柄、全国各地の多くの方々と交流をされていらっしゃると思いますが、交流という視点で東部地域はどういう形に変わっていくのか、何か一つ提案を頂ければと思うのですが。

稲田 今回、台湾へチャーター便を飛ばすにあたりロータリーとかライオンズの方が、ブラザークラブを結んでいるところがあるから紹介するよと言ってくれています。台湾でもそうですから、韓国、中国でもそうでしょう。交流の輪というのは実際にはすごくあるなと。それがなかなか表面に出ていないという感じがします。
 産業関係ですが、私ども274の信用金庫が全国にあるわけです。年金の旅行ということで、私は一昨年、1200人のお客さんを伊豆に呼びました。また、私どものお客さん2500人を浜松に送り込みました。そういうこともあり帯広の信用金庫に是非年金旅行のお客さんの会でこちらに来てもらいたいという話をしたわけですが、そうやって商品も生まれてくると思うんです。伊豆に来られる方たちには見どころを紹介し、お出でになった時は私どもの職員が必ず行って三島信用金庫でつくったラベルのあるワインを1本お届けします。たった1本ですが、大変喜んでいただいています。去年、舘山寺に年金旅行で2500人送り込んだ時には向こうの信用金庫の方を通して旅館さんも紹介していただき、訪問する土産物屋さんも紹介してもらいました。皆さん一人ひとりがメッセンジャーになってやっていくことが非常に重要じゃないかなと思います。

教育を活用したら新しい伊豆の観光、交流ができるのではないか

中山 佐藤さん、文化とか観光の交流という視点で海外のお話を伺いたいんですが。

佐藤 21世紀は、大観光、大交流時代だと言われています。もっともっと交流が盛んになっていくと思います。今日は、ここにきていろいろなお話を聞き感動したことは、山口先生や諏訪部さんとか、医工連携、あるいは金融連携、教育が連携していることです。
 ハワイに3カ月いたことがありますが、ハワイは当時1ドルでオアフ島をバスで一周できました。途中で泳いでまた乗る。たった1ドルでそれができる。
 皆さん、ハナマ湾で泳いで魚を見て子どもたちが歓声を上げる姿をご覧になったことがあろうかと思いますが、21世紀は環境問題ですから、それをまた教育の場を通して、あるいは皆さんの様々な企業の方々のお力を借りて、この伊豆をもう少し何とか出来ないかなという考えをいつも抱いています。
 伊豆箱根鉄道で三島から修善寺間で500円、往復1000円かかってしまいます。ハワイのように伊豆も工夫をしてをやってみたらどうか。教育の一環として考えてみたいなと思います。特に素晴らしいのは西伊豆ですが、西伊豆は幸いなことに俗化しておりません。海岸沿いに昔のいい道が通っています。ウオーキングで若い学生たちが高齢者のお世話をしながら歩いたりしたらどうか。教育をそこに活用したら新しい伊豆の観光、交流ができるのではないかと思います。

大規模な学会だと経済効果が4億円から5億円

中山 勝 氏

中山 勝 氏
中山 山口さん、きょう配布していただいた資料の中にも静岡がん会議2008というのがありました。この東部地域で学会が行われるということで、非常にうれしい話でして、今進められております沼津にコンベンションセンターをつくろうとか、そのあたりの観点で何か具体的なお話を頂ければと思います。

山口 今月28日に開催の静岡がん会議というプログラムを資料に入れさせていただきました。ファルマバレープロジェクトの成果として地域の企業の方々が中心になっていろいろな製品を生み出し始めていますので、こういう製品をつくりましたと発表していただく機会にしました。患者さんが手術を受けた後で簡単にチューブなんかを入れ替えできるような手術後の着物をつくろうとか、そういうところで地域の方々にいろいろご協力をいただいているという一つの表れです。だから誰でも少し知識があれば参加できる状況にファルマバレープロジェクトがなってきたということをお示ししたかったのです。
 一方で、コンベンション、これは会議という意味だと思いますが、会議を地域で開くことでいろいろ地域には経済効果が出ます。静岡がんセンターが関連したものと言えば、大きいものは1年に1回ぐらいです。昨年8月に緩和医療学会をやり、来年2月には全国のがん看護学会が開かれます。数千名、あるいは3千名ぐらいの規模の会議です。残念ながら東部では収容できる会場がありませんので静岡のグランシップで行いますが、5000人集まりますとグランシップはいっぱいで、3分の1ぐらいが立って講演を聴くという状況でした。宿泊とかお土産も含めて経済効果が4億円から5億円くらいかと思います。そういう方々は静岡空港に来てくださいと言えば皆さん静岡空港に来るわけです。そういう形でコンベンションというのは手っ取り早い利活用のポイントで、それが今後コンベンションホール等が出来ていけば静岡県東部にもそういう影響が及んでくるだろうと思います。
 今すぐやらなければいけないことを2、3点言っておきます。まず空港のパンフレットに「富士山静岡空港を使うと必ず富士山が離着陸の時に見えます」という言葉を入れるべきです。飛行機からですと余程の嵐でない限り見えるはずですから是非入れるべきだと思います。
 その上で、空港からのアクセスは必須だと思います。空港の入り口から沼津、三島を通って伊豆まで是非バスを考えていただきたい。これがない限りは羽田との競争は負けると思います。東部の方は声を上げてバスだけは何とかしろと県等に訴えるべきだと思います。
 コンベンションビューローの立ち上げに私も少し協力をさせてもらいましたが、コンベンションが誘致されることによって企業誘致につながっているのです。ファルマバレープロジェクトの大きな眼目として企業誘致に極めて積極的に取り組み、東部の地域に来ていただくよう今誘致しています。空港と結びつけながらこの地域の医療健康産業の活性化のみならずすべての産業の活性化に必ずつなげられると思います。工夫だと思います。

20年後にはつくって良かったという空港に

諏訪部 敏之 氏

諏訪部 敏之 氏
中山 最後に皆さんに富士山静岡空港を活用することによってこの地域をどのようにしたい、そのためにはわれわれがしなくてはいけないことは何だということをお聞きしたいと思います。諏訪部さんからお願いします。

諏訪部 富士山静岡空港を東部で活用するためにどうしたらいいかと言いますと、やはり東部全体で考えるべきじゃないかと思います。商工会議所、商工会、JA、観光関係者、行政、こういうものが一体となって各団体が集まって富士山静岡空港を利用した東部活性化委員会を立ち上げたらどうかと。皆で総合的に考えていったらどうかと考えました。
 もう一つ夢のような話ですが、富士山静岡空港から伊豆まで飛行船を飛ばしたらどうか。晴れた日に駿河湾の上を浮かび、富士山を眺めながら伊豆半島に入ってくるのは、どうなのかなと考え、飛行船会社にいろいろ聞いてみました。定員は8名で、時速70キロですから空港から1時間かかります。「一人10万円かかりますねと。着陸地には200メートル四方の空き地が必要で、風速7メートル以上だと飛べません」と。だんだんハードルが高くなってきましたが、不可能じゃないと言っておりました。いずれにしましても何かつくる場合には必ず賛成、反対がありますが、新幹線三島駅がそうです。当時、そんな贅沢なものに乗る奴はいないと反対がありましたが、今になってみれば新幹線三島駅は三島市の財産になっています。富士山静岡空港も私は20年後にはつくって良かったという空港になるのではないかと期待しております。

鉄道と道路と空港と海の4つのアクセス利用を
 

稲田 今、静岡県内で5万トン以上の豪華客船が寄港できるのは清水港だけです。国際観光都市熱海には2万トンしか入らない。そこに5万トン以上の船が入るようにする。それと飛行機とをうまく活用するとか、いろいろな活用を連携を取りながら鉄道と道路と空港と海と、この4つのアクセスをうまく利用しながらやっていったら素晴らしい利活用につながってくるのではないかと思います。

富士山に平和、健康など意味づけを

佐藤 富士山、これがキーワードになって行くと思いますが、これに意味づけをしたらいかがでしょうか。富士山は平和、それから健康と。地理的なものもありますが、もっと意味づけをしていったらどうでしょうか。肉体にとって、あるいは精神にとっても、この東部地域には素晴らしいものがあります。いろいろな切り口が可能です。私の家の近くに倉橋由美子さんの旦那さんの熊谷冨裕さんがおられますが、伊豆平和半島構想を真剣に考えて、アフガニスタンとかイラクで戦火の被害に遭った子供たちを伊豆に連れて来て、心を、体を、身も心も癒してあげたいと。その面でもこの富士というシンボルはいろいろな意味づけが可能です。

新幹線の地下駅を空港に

山口 諏訪部さんがおっしゃった全体の協議会をつくるというのは大賛成です。3つほどやってほしいと思います。1番目は富士山静岡空港が出来てブースができた時に、静岡県東部のこれが代表的なお土産だというものを作るべきだと思います。千歳の生キャラメルのような。2番目はコンベンションビューローの活用だと思うんですが、コンベンションビューローというのは会議だから必ず全国から会議のために人が集まり、その人を富士の観光ビューローに流す話なのに、何で一緒にやれないのですかという話が分かってもらえなかった。コンベンションビューローと観光ビューローは同じだとずっと思っておられる。いまもその状況が続いているので、もちょっと勉強していただいて、どっちが本当にメリットがあるかを考えることを是非ご記憶していただきたい。
 3番目は新幹線の地下駅を空港につくっていただきたい。これができればものすごく集客力が増し、東部からも非常に便利になります。

中山 全国平均のパスポート取得率は25%です。静岡県はそれよりも下ということになります。実は島田市はパスポート取得の補助を出しているんですね。行政の方でそういうことをやっていただければと思います。もう一つ、相良牧之原インターチェンジから富士山静岡空港に入る時は10分という話がありましたが、信号は1つなんです。時間距離よりは精神的な距離は近いというイメージを持っていただければ利用し易いし、皆様方にもお話ができるのかなと思います。


▲ページトップ
入会案内お問い合わせ事務局案内リンク Copyright(c) SUNFRONT21.�ALL RIGHTS RESERVED.